外国人看護師・介護士
【看護師・介護士に外国人を採用する。】
この凄まじく大雑把で、国が如何に現場を見ていないか解る制度が始まり11年が経過しました。この制度が採用された当初、医療者側の意見は真っ二つに分かれます。2008年当時、アジア総合政策センター研究班の調査を参照しますと【賛成5割】【反対5割】と文字通り真っ二つです。
賛成側の意見としては切実なモノです〝看護師不足・介護士不足をなんとかしたいから〟が70%の割合を占めています。この試みですが、結論から述べますと失敗に終わりました。当初予定していた2割も日本に残らなかったのです。
失敗の理由についてはまるで口を合わせるかのように〝言語の壁が大きかった〟といいます。……事実そうでしょう。
看護師国家試験の合格率は、日本人では90%前後ですが、外国人枠では17%前後。介護福祉士国家試験は日本人合格率75%前後で、外国人枠では50%前後と、試験の壁は確かに大きかったです。
何しろ日本語自体複雑だというのに、専門用語まで入るのです。医療・福祉用語ではベッドの上で行う簡単な用語でも、【起床】【離床】【臥床】、【端坐位】【長坐位】【仰臥位】【伏臥位】【腹臥位】【膝胸位】、【体交】【徐圧】【清拭】【保清】、ぱっと思いついたことを簡単に羅列するだけでもこんな感じです。ぜーんぶ違う意味を持ちます。
果たして言語から異なる海外の方が全てを理解し、その上で看護・介護に臨めるでしょうか?……いえ、外人はいらんとヘイトをしているのでは御座いません。単純な疑問であり、恐ろしさです。
医療の臨床現場では先程最初に羅列しました【起床介助】と【離床介助】を間違えると、下手すれば人が死にます。
しかしここで一つの疑問が浮かぶのです。
厚生労働省が想定していた人員の2割以下しか日本に残らなかったのは、本当に試験と言語の壁だけなのか?と
そもそも受け入れているのはインドネシア、フィリピンなど、経済連携協定に基づく国です。……英語しゃべれるなら、アメリカとか行った方が正直全然儲かります。言語の壁もありませんし。
看護師を例にしますと、日本での看護師平均年収は400万円、先進国平均が700万円です。また日本は労働条件も過酷です、夜勤と日勤が入り乱れたシフト、過労死訴訟が頻発するほどの時間外労働、自分のミスで人が死ぬ・不虞になる恐怖の日々。看護師を志し、道半ばで脱落する人……離職率がそもそも高いのです。
グローバル社会は結構なことですが、まず自国の体制をしっかり整えてから他国を受け入れませんか?日本の恥を大ぴらに晒す必要はないと思うのですよ。