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武器強

 最近世界の犯罪率が上がった。その理由として、5年前世界4ヵ国同時多発テロが発生したからだ。ここ日本もテロの標的だったが治安は普通に戻っている。なぜなら国が国立テロ対策学園(TTG)を創立し、より犯罪対策に力を入れたからだ。そんな危険が多いところから僕に入学推薦が来てしまった。

「は~ぁ、こんな危険がいっぱいな学園になんで入学しちゃったかな……でもこの学園くらいしか行くところなかったし、考えていても仕方ないか」

 中学では勉強も運動もごく普通でこれといった特技がないどこにもいそうな学生に推薦が来たのが不思議でならない。

 しばらく新しい通学路を歩いていると、後ろから可愛い声がした。

「ねぇ、君もTTG入学者だよね、もしよかったら一緒に行かない? 私最近こっちに越してきたから道わからないんだよね」

 振り向くとそこには金髪ポニテの少女が息を切らしながら立っていた。胸もそこそこありアニメの世界から出てきたみたいな美少女だ。自分の好みドンピシャの女の子だ。

「そ、そうだよ。僕も今日からTTGに入学。君はどこから来たの?」

 彼女は息を整えてしゃべり始めた。

「私は父がアメリカ人で母が日本人なの。今までアメリカに住んでいたんだけど、お父さんがアメリカは危ないからって、お母さんと一緒に日本に住むようにって言ってこっちに移り住んできたの」

 彼女は丁寧に説明してくれていたが全然耳に入らなかった。だって、汗でブラが透けて見えてるから……。

「そ、そうなんだ。なんか大変そうだね」

「さっきから全然違う方見てるけど私何か変?」

 さすがに初対面の人に『ブラ透けてますよ』なんて言えるわけない。ここは話を変えなければ、僕が変態扱いされてしまう。彼女が戸惑っていると近くから叫び声が聞こえた。

「誰か、その男を捕まえて!バックの中には大切なものが入っているの!」

 前から犯罪者のテンプレのような男がこっちに走ってきた、周囲の人々は異変に気付きざわめき始めたがだれ一人として助けようとしなかった。

(うゎ、朝からマジか……正直かかわりたくないけどここはいいところ見したいし、女の子の前で逃げるわけ行かないよな。ここは男を見せる場面だ)

「ちょっとごめんカバ……」

 犯人を捕まえようとかばんを渡そうとした時、彼女は犯人の前にいた。

「邪魔だ! 怪我したくないならそこをどけ小娘!」

 荒々しい声を立てながら男が走ってきたが、彼女は動じず立っている。さっきまで可愛い顔をしていたが、目が細くなり表情がなくなった。

「あなたとても不運ね」

 次の瞬間犯人は白目をむいて倒れた。周りにいた野次馬と僕はないが起きたのか分からなかった。あまりにも一瞬の出来事過ぎて脳の処理が間に合わない。

 彼女は道の隅に落ちたカバンを拾い持ち主に返しに行った。ただ当たり前のことをしたまでですみたいな顔で持ち主に返した。持ち主も動揺していてありがとうの一言で精いっぱいだった。

「さぁ問題も解決したことだし早く学園に行こ! 急がないと初日そうそう遅刻だよ」

 彼女は何事もなかったように学園に向かって行った。その彼女の姿は凛々しくも何か闇を感じた。しかし僕はそんな彼女のことがすごく気になる。

「ちょ、待って! 学園はそっちじゃないよ~」

 急いで彼女の後を追う。

 何とか時間には学園につくことができたが彼女を見失ってしまった。学園の中は広く生徒も多い。しばらく周りをぶらついていると後ろから聞きなれた声がした

「おーい! みなとー! こっちだって!」

 振り向くとそこには近所に住んでいる葉山新がいた。

「久しぶり新、まさか新がこの学園にいるとは思わなかったよ。で、また何でこの学園に?」

 新は頭がよく、大手企業から一目置かれている人材だ。運動もそこそこできるが得意っていうわけでもない。こんな何が起こるか分からないところにいるのが疑問だ。

「いや、ちょっと事情があってTTGに入ったんだ……そんなことよりそろそろ入学式始まるからホール行こうよ」

 スマホを見るとあと数分で入学式が始まる。急いで新とホールへ向かった。

 始業式では全国からお偉いさんが来ておりためになる話をしているが、学生の自分たちには退屈な時間でしかない。そんな退屈な時間を過ごしていると生徒代表の挨拶になった。

「本日からこの学園に入学できることを誇りに思います。これからはこの国を平和にするために日々努力していきたいと思います――」

 え! この声はどこかで聞いた声だと思い、顔を上げるとそこには朝一緒にいた女の子がいた。まさかこんな形でまた会えるとは思ってもいなかった。

「これで挨拶とさせていただきます。代表、青海雫」

 彼女は挨拶を終えると壇上から降りた。生徒代表の挨拶は入学生の中でもトップエリートがやるのだが、彼女は一見してそんな風には見えない。だが朝の光景を目にしている自分は納得していた。そのあとは数人のお偉いさんがしゃべって終わった。だいたい1時間ホールにいて腰が痛い、この後はクラス発表があるので広場に移動する。新は完全に爆睡していたので起こして一緒にクラス発表を見に行く。

「一緒のクラスだといいな、みなと! そしたら一緒のチームになろうぜ!」

「え? 何チームって? 学園祭?」

「は?お前なに言ってんだよ。戦闘チームに決まってるだろ! さっき学園長が言ってただろ。お前何にも聞いてないんだな、勘弁してくれよw」

 自分より爆睡していたこいつだけには言われたくないセリフを言われて少しカチンときた。

「そんな新さんとは一緒のチーム組んであげませーん」

「あ~~わかったから、ごめん、ごめん。そんなことより早くクラス表見ようぜ!」

 周りの生徒たちはもう自分のクラスに向かっているのに対して、自分たちはまだ何クラスかも見ていなかった。張り出しを見るとやはり一緒だった。

「やっぱり同じか、これから一年よろしく新!」

「あぁ! こちらこそよろしく!」

 クラスが分かったことなのでクラスに向かうことにした。自分たちはBクラスなので棟が違う、A,B,Cの3クラスは西棟が教室になる。

 クラスにつくともうほとんどの生徒が席について待っていた。自分たちが最後だったらしい。

「これからこの学園のシステムについて話す、よく聞くように」

 教師は怖そうな女教師だった。

「お前たちには最初の一週間チームの仲間集めをしてもらう。チーム人数は最低5人あとは何人でもいい。一週間でチームを作れなかったものは即この学園から去ってもらう」

 最後の言葉を聞いて教室がざわめく。

「話はまだ続いているぞ!いいかこの学園はいつ自分が死んでもおかしくない学園だ。ただ楽しい学校生活を過ごしたいだけの奴は今すぐ辞めて普通の学校に行け。それでも残るやつは、気を引き締めて学園生活をおくれ、以上だ。何か質問があるものは?」

 クラスは静まりかえっていた。

「最後に言っておくが、このチーム集めはあとあと重要になるぞ」

 教師は言い残し教室を後にした。教師が出ていくのを確認してから新が寄ってきて、真剣な声のトーンで話始めた。

「このチーム決めはマジで決めないとやばいヤツだ。このチーム替えで必要なのは戦闘時の役割だ。あらゆる分野のメンバーがいないと戦闘時に大変なことになる」

 こんなに真剣な新を見るのは久しぶりだ。

「どうしてそんなこと知ってるんだよ?」

「もとTTGの先輩が教えてくれたんだよ。その先輩はチームが偏って途中で学園をやめたんだと、そういうわけだから慎重に集めていくぞ」

 ことの重大性がわかりメンバーを集めるため教室からでた。

「でもどういうメンバーがいいんだ?」

「それより自分がどのポジションか知る必要がある。今からラボに行って自分のポジを決めるぞ」

 西棟を出て南棟がある方へ向かった。まだ南棟にはいったことはないが新はすたすたと進んでいく。

「なぁ、ポジション決めるっていても俺何も知らないけどいいのか?」

「黙って俺についてこい。そこで話してやるよ」

 やはりこの学園は謎が多い。朝から疑問だらけでもう頭はピヨっている。5分くらい歩いたら白い建物が見えてきた。外見は普通の建物にしか思えない。

「ここがラボらしいな、俺もまだポジ決まってないからゆっくり決めるか」

 中に入ると外見とは裏腹に黒と青で統一されたエントランスになっていた。中央には受付の場所があった。

「こんにちは、今日はどのような用件で?」

「えっと、いろんな武器を使ってみたいのですがーー」

「あれ! 君とまたこんなところで会うなんて奇遇だね。君もポジ決め?」

 後ろからすごく聞きなれた声がした。

「な、なんで雫さんがこんなところに? 朝から雫さんにはびっくりさせられまくりですよ。」

 すると雫が目の前に立った。僕の心臓の鼓動が聞こえてしまう距離だ。彼女からはいい匂いがする。

「朝のことは知られたくないの、だから私とあなたのヒ・ミ・ツ!」

 そっと耳元でつぶやき離れた。

「きみたちポジション決めにきたのよね? もしよかったら私がきみたちのポジション決めてあげる。さあ、第3ルームに行きましょ」

 え! たった今、入学したての僕たちはまだ銃は触ったことがないのに彼女はもうポジションが決まっているからだ。さらに驚きが増えた。

「え! もう決まってるの? 君は一体何者なの? 朝のこともそうだしもう、わけわかんないよ」

「は!? お、お前青海雫を知らないのか! 青海はアメリカの射撃大会で一番になってる人だぞ。日本 でも有名なのに知らなかったのか……それにここの学園長の孫だぞ」

 その時僕の頭は真っ白になった。

「あちゃ~、ばれちゃったか。ごめんね、みなと君。別にだましていたんじゃなくて、自分から言うのが好きじゃなかったから黙っていたの。これからよろしくね」

 そしてついに僕の脳みそは完全に爆発した。


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