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「歌舞伎者の街」  作者: 光鬼
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「歌舞伎者の街」 第46話

何故か、自分に余裕ができた。




この近くに茜はいる・・・、確信していた。


頭の中は、きっちり歯車が噛み合い、最高の状態に近づいていた。



(後はっと・・・これ)



煙草を取り出し、バイクに腰掛けながら火をつける。


電話をしながらの着火は、なかなか難しかった。


紫煙が頭の中に刺激を与える。


1回クラッとくると、頭の中は最高潮を迎える。



「馬鹿いえぇ。 ガムとかジュースとかを領収書で落とした事はあるが、公安が出てくる程じゃあるめぇ」


「大なれ小なれ横領は横領だ」


「うるせぃ! ぅんな事はどうでもいい! で、公安が来る前に署を出て車で走ってる・・・」


「あぁ、正解だな。 恐らく何だかんだ理由をつけて拘留し、身動きを取れなくしようとしてるんだ」


「あぁ、俺もそれを感じた。 でよう、倉庫なんだが見つけたぞ・・・」


「!?」


「てめぇの言った通りだ。 場所はC埠頭のNー3倉庫だ。 等々力の名前で半年前から借りている」


「・・・C埠頭のNー3倉庫・・・・・」


「でもよぅ、本当にいるのか? その倉庫に助手さんがよぅ?」


「あぁ、いる。 今、茜からメッセージを受け取ったところだ」


「!? メッセージ? 今って・・・」


「今、等々力医院の前にいるんだが、裏口に続く石畳の植え込みに眼鏡が落ちていた。 黒縁でガラスは入っているが度の入っていない眼鏡・・・」


「それは、本当に彼女のもんなんか?」


「あぁ、間違い無い。 彼女の眼鏡は特殊でね・・・、大抵この手の伊達眼鏡は、レンズの部分が透明アクリルで出来ている。 でも茜のは、目線を読まれない為と本人も言っていたが、色々な物がレンズに映り込むようにガラスで出来ている」


「なるほどなぁ・・・」


「ありがとう、哲さん・・・」


「!? おい! ちょっと待て! 俺も今向かってる!! 無茶をせずに俺をま・・・・・・」



携帯を切った。


最後の一口を飲み、火の点いたままの煙草を携帯灰皿に捨てた。



(・・・これが、本当の意味で最後の1本になるかもしれないな・・・。 よし!! 行こう! 茜、今行く・・・)



腰に差した拳銃を上着の上から確認し、メットを被って走り出した。


周りの景色が後ろへ流れていくのと重なって、茜との思い出も走馬灯のように後ろへ流れていった。


来た道を左折、真っ直ぐ道なりに走り、突き当たる手前、左に小さい“ハードロックバー”の看板が見えてきたら、その先にある左の小道に反れる。


急な下り坂を、遠目に工事の灯りを見ながら降りきると、片道3車線もあるでっかい道路に出る。


この道路の突き当たりがC埠頭。


アクセルをあけ、数少ないトラックを抜き去って、C埠頭へ向かった。


C埠頭に入り、徐行しながら倉庫を探す。


“H~N倉庫→”


標識通り右に曲がってさらに徐行。


荷物の荷出し荷入れをするにはまだ時間が早いのか、人気が無い。



(・・・H・・・I・・・J・・・K・・・)



列になっている倉庫の壁に書いてあるアルファベットを1つ1つ確認しながら徐行。


エンジンを切り、余韻で進んでMの倉庫の列でバイクを停めた。



(ここがMー10・・・次がN-10・・・この列だな)



流石に埠頭の倉庫だけあって、道幅だけでも有に20メートルぐらいはありそうだった。


真っ直ぐ並ぶ倉庫の列は、倉庫幅1つが50メートルぐらい。


単純計算で、500メートルぐらいありそうだった。




                    ・・・つづく


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