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「歌舞伎者の街」  作者: 光鬼
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「歌舞伎者の街」 第44話

下に電話番号らしきものが書いてあるが、読み取れない。




宇宙そら、これ見えないかなぁ・・・」


「どれ? ・・・画質によるけど・・・・・どうだろう。 アップにしてみるね」



その部分がアップにはなったが、夜の画像だからなのか、まだはっきりしない。



「・・・やはり無理かぁ」



落胆していた俺をみて、宇宙がポンッと手を叩いた。



「ちょっと待って・・・・・、これならどうだろう?」



宇宙は、キーボードとマウスを巧みに操り、チョンとエンターキーを押した。



「うわっ!? 写真が明るくなった!」


「今やったのはね、スーパークリアシャドウといってね、写真の輪郭をハッキリさせるモードなんだ。 携帯にも付いてるよ」


「これなら読める・・・・・045ー△△△△ー□□□□」


「やったぁ~」


「宇宙、ありがとう。 045って事は横浜だな。 やっぱり等々力医院はもう1つある・・・」



早速、ハートフル商事に電話をかけ住所を聞いた。



「本当にありがとう、宇宙。 助かったよ。 なぁ宇宙、もう1つ頼まれてくれないか?」


「何?」


「これはかなり危険が伴う。 どうする? 断ってもいいよ・・・」


「・・・・・やるさ! それって茜姉ちゃんの為になるんだろ?」


「あぁ・・・、頼む。 このディスクをコピーして、会長と守氏に渡してくれ。 それと伝言だ・・・、守氏の友人はやはり熱い人だった・・・後を頼む・・・・・と。 必ず伝えてくれ。 男と男の約束だ、守れるか?」


「???・・・・・うん! 必ず! ・・・でも変だよ、なんか最後のお別れみたい・・・」



コピーを持って宇宙よりも先に出てきた。


宇宙には“会長に電話して迎えに来てもらえ。 それまでは1歩もここから出るな”と、言っておいた。


甲州街道から副都心へ入る。


新宿中央公園の公衆電話から連絡を入れた。



「おう、なんか解ったか?」


「俺は、これから横浜へ向かう」


「!? 何で横浜なんだ?」


「そのスリーショットの写真、恐らく横浜だ」


「なんだと!? でもそこにてめぇの助手がいるとは限らねぇ」


「確かに・・・、俺もここにはいないと思っている」


「!? てめぇの言ってる事は、いっつも解らねぇ。 解るように説明しろ」


「あぁ、頼み事もあるからな。 まず、等々力医院が2つあるのは解るな。 もし俺が、警察署から出てきた茜を拐った犯人だったとして、茜を隠そうと思った時、まず警察関連の建物は?」


「有り得ないだろう」


「そう。 そのディスクの写真もそうだが、雨宮の写真が1枚も無い。 そんな用心深い人物が、簡単に足のつくところを使うはずが無い」


「じゃぁ、柳沢がいる権田組関係は? それならあるだろう?」


「いや・・・俺は無いと踏んでいる。 柳沢も用心深い人物だ。 もし、権田組関係の建物から茜が見つかったら、当然雨宮は、柳沢を切ってくる。 その切る口実を、自分達の建物を使う事によって与えてしまうんだ。 美味いリターンも無いのに、こんなリスクになる事、柳沢がするとは思えない・・・、では、雨宮も柳沢も関係のないところは?」


「あるんかもしれねぇが、そこじゃぁ自分達が安心できんだろう・・・」


「その通り! で、今までの事を合わせて考えると?」


「・・・警察関連や権田組の関係じゃねぇところで、自分達が安心できるところになるんか?」


「ご名答!」




                    ・・・つづく


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