表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「歌舞伎者の街」  作者: 光鬼
41/52

「歌舞伎者の街」 第40話

爺は笑みを浮かべて答えた。




「知らん方がええじゃろ・・・。 同じ道を行く者として、いつの日にか懐を分かつ時が来るやもしれぬでな・・・」


「・・・同じ道って・・・、俺は極道じゃ無い・・・・・」



爺に目が、ギラリと光った気がした。



「極道じゃのうても、お主、人を撃ったの初めてじゃなかろう? 構え、撃ち方を見れば解る。 人を殺めなきゃ進めん道なら、然程わしらと変わらんて・・・」



考えさせられた・・・、歌舞伎町という魔物のせいなのか、この事に然して疑問を持たなかった自分に違和感を感じた。




どんな手を使ったのか解らないが、4人は割と簡単に吐いた。


やはり権田組の鉄砲玉だった。


鉄砲玉は、当然の事ながら何も知らされちゃいない・・・が、ただ1つ、不可解な事を言った。



「権田のとこの新しい若頭、井上の指示じゃそうじゃが・・・・・知っとるか?」


「・・・・・・・・あぁ、顔ぐらいは」


「そうか。 じゃがのう、あいつら変な事を漏らしおった」


「!? 変な事?」


「うむ・・・。 “警察の事は気にせんでええから、どんな手を使ってでも資料を入手し、2人を始末しろ”と言われとるそうじゃ」


「チッ!! また警察か・・・」


「国家権力というものは、厄介じゃのう」



ブーーーッ

ブーーーッ



「電話じゃぞい」


「あぁ」



ディスプレイには、“公衆電話”と出ていた。



「・・・・・・・・・」


「俺だ!!」


「!? 哲さん?」


「あぁ・・・、やべぇもん見つけちまった・・・・・」


「!? 何をだ!?」


「ディスクだ! 楠木の社長さんから“ルポライターの件を調べて欲しい”と言われて調べていたんだが、その筋から風俗の女が出てきた。 その女、ルポライターの女らしいんだが、ルポライターが調べた資料を、写真付きで持っていやがった・・・」


「何!! 当時の捜査で、警察はその女に行き当たらなかったのか?」


「いや、捜査線上には、名前は出てたらしい・・・、ただ女が言うには・・・・・」



その女が言うには、ルポライターが殺された晩、女はルポライターと逃げる約束をしていた。


東京駅に20時に待ち合わせをし、もし時間に来なければ、20時04分発の最終列車に乗れと言われていた。


女は、ルポライターが来なかったので、最終列車に乗った。


行き先は、青森県三沢市。


ルポライターは、米国連邦航空局に知り合いがいた。


三沢基地で少し時間を費やし、海外へ逃げる算段が出来ていた。



「で、その女は今、米チャンのとこで働いてるよ・・・」


「!? って事は、哲さんは今!?」


「ピンポーン! 三沢にいる。 流石の警察も、米チャンを相手には出来なかったとみえる。 3日間張り付いて、ルポライターの敵を取りたいと懇願したら、渡してくれた」



(・・・本当にあったのか・・・その資料。 それで、罠だと解っていても誘いに乗って来たんだな・・・権田組は・・・・・)



「それで哲さん! 黒幕は誰になってるんだ?」


「聞いて驚け! 天下の警視庁副総監! 雨宮 大二郎様でぃ!!」


「!? ・・・副総監・・・・・」



頭の中が、一瞬止まった。


多分、宝くじに当たるとこんな感じになるんだろう。


相手があまりにデカ過ぎて、ピンッと来ない。



「・・・不動! 聞いてんのか! てめぇ! 俺は明日、朝一で戻る。 明日の昼には、これをおめぇに渡せるぜ! 例のとこで会おう」


「あぁ、解った。 63255324」


「おぅ! 待ってるぜ・・・」



電話が切れるのを待っていたかのように、爺が鍵を投げて来た。



「!? これは?」


「本当の隠れ家じゃ・・・」




                    ・・・つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ