「歌舞伎者の街」 第28話
俺は、開いた口が塞がらなった。
「噂じゃ・・・、まだな・・・・・」
「だけど、もしそれが本当なら・・・」
「そんな事を出来る組は無い。 関東にも関西にもな。 そこがスッキリせんのじゃ・・・」
「でも、もし・・・・・」
「なんじゃ?」
「いや・・・、過程の話しだが、もし、そんな技術が日本にあって・・・」
「あったとしてもじゃ・・・、そんなもん何処に隠せる? そんな小さなものでは無いはずじゃ」
「・・・確かに。 だけど、もしその機械が病院にあったら・・・・・」
「びっ!? 病院じゃと!? 何を馬鹿な・・・。 そんなもんが病院にあったら、サツが取り締まっとるわい。 合法だとしてもじゃ、厚生労働省が登録制にして、自分達の管理下に置くじゃろ。 それに、百歩譲ってその機械が病院にあったとしてもじゃ、さっきも言った通り、薬の密輸量はかなり減っておる。 精製するモンが無いのでは、話にならんじゃろ・・・」
「薬は・・・・・ある」
「!? なんじゃと!? そんなモン何処にあるというんじゃ?」
「・・・・・警察・・・・・」
「なんと!?」
「・・・黒岩も知っているだろう。 年間何十キロにも及ぶ押収量を・・・」
「それは知っておるが、何年かに一度焼却処分されておる」
「それはあくまで、公式発表での話だ。 実際、燃やしているところを見た訳じゃない・・・」
「・・・・・それはそうじゃが・・・・・・。 じゃぁ己は、その燃やされたと言われている何十、いや何百キロという薬が、サツから横流しされておると?」
「断言はできない。 だが、そう考えれば、辻褄が合ってくる。 機械の話にしたって、警察の高官なら病院と連んで隠せる・・・」
「・・・確かにそうじゃが・・・・・・」
「それに、嫌な噂もあるんだ」
「噂?」
「あぁ、修が勤めていたホストクラブの店長が言っていた。 警察が、押収品を横流ししている噂があると・・・」
「また噂かぁ・・・」
「黒岩、俺には警察内部の事は調べようがない。 頼まれてくれないか?」
黒岩は、暫く考えていた。
「・・・・・・・・・・宛にするでないぞ」
「あぁ、助かる・・・」
「己はどうするのじゃ? 不動?」
「俺は、病院の方からあたってみる。 もし、その見解が当たっていれば、その病院には多額の金が入っているはずだしな」
「わかった・・・」
話が纏まりつつあった時、携帯が俺のポケットの中でもがきだした。
「はい・・・」
携帯に出た。
「#$%&+*>¥✩・・・」
(・・・・・まただ)
「・・・哲さん。 声が大きくて聞き取れないよ」
「!? おっといけねぇ。 不動! 良く聞け! お前に逮捕状が出たぞ。 5日前にあった喫茶店放火事件の重要参考人だそうだが、おめぇがやったんか?」
「・・・哲さん、電話で取り調べって可笑しくない?」
「!? 確かに・・・って、おめぇ! そんなに落ち着いてやがるって事は、何か知ってやがんな!!」
「知ってる? 哲さんは俺がやったと思ってんじゃないの?」
「馬鹿言え!! てめぇは生け簀かねぇ野郎だが、こんなチンケな事、やりゃしねぇ。 1銭の得にもならねぇしな。 こんなすぐ足が付きそうな騒動をおめぇが起こすとは、端っから思っちゃいねぇ。 おめぇみてぇなヒネクレ者が放火すんなら、もっと回りくどく人を小馬鹿にしたようなやり方でやるはずだ!!」
「褒められてんだか、貶されてんだか・・・・・」
「とにかくだ! おめぇに会いてぇ! 何処で会える?」
「6、32、55、32、4」
「!? 時間は?」
「24時」
・・・つづく




