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「歌舞伎者の街」  作者: 光鬼
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「歌舞伎者の街」 第27話

黒岩は、腕組みをしながらジッと俺の目を見た。




俺は、状況が行き詰っていた事もあって、全てを聞く事にした。



「・・・まず、雅子と修の関係は?」


「ホストと客じゃ。 それ以上でもそれ以下でもないわ」


「・・・修が、薬を流していたのか?」


「いや、それは無い。 どうやら、昔に修がそのような事をしとったのを、知っている奴がいるようじゃ」


「!? じゃっ、修は?」


「はめられた・・・・・と、言って良いじゃろう」


「? でも可笑しくないか? 雅子は修に薬を勧めている・・・」


「女が言うには、女はそのホストに惚れていたそうじゃ。 で、女はその薬の売人に“そのホストは薬中で、未だに薬漬けでいる”と吹き込まれたそうじゃ」


「!? じゃっ、雅子は・・・」


「そうじゃ。 薬でそのホストの気を惹こうとしたのじゃろ。 馬鹿な女よ・・・」



黒岩は目をつむり、項垂れながら頭を振った。



「・・・その売人とは?」


「・・・・・・・・永成会権田組の柳沢 清人。 元締めは此奴じゃ。 売人は、此奴の下におる吉村 浩司。 女に薬を回していたのは此奴。 此奴は、元々岸組におってな・・・・・」


「!? ・・・岸組って・・・・・」


「最近、己は岸組の桐生と連んでいるそうじゃの。 吉村も昔は、桐生の下におった」


「なんだって!!!」


「・・・そう大きな声を出すでない。 いくら年寄りでも聞こえておる。 わしは、まだそこまで耄碌しておらんわい」



黒岩は、フォッフォッフォッと笑ってやり過ごした。



「・・・すっすまん。 じゃぁこの薬は永成会の・・・」


「の、はずなのじゃが、どうもそこがスッキリせん」


「!? スッキリしないとは?」


「不動よ・・・、権田組は知っておるな」


「あぁ、ここ最近、永成会の中で急成長してきた組。 今じゃ、永成会1、2を争う勢力になってきたと聞いている」


「そうじゃ。 そしてその力とは・・・」


「金・・・・・だ」


「フッ、知っておったか。 権田組は、表向きは合法的な金貸しをやっておるが、裏では、薬、武器の密輸、販売、人身売買、株の裏操作・・・、俗にいうインサイダー取引じゃな、その情報収集操作。 それに臓器販売。 金になる事なら、何でもやっておる。 特に今は、IT企業と連んで、何や裏インターネット販売とかいうのかの? 違法じゃそうじゃが、そんな事もやっておるそうじゃ。 俗世の言い方でいうと、インテリヤクザじゃな。 ・・・組長の権田 義治は、そんな秀でる極道ではなかった。 ここまで組みをデカくしたのは、その参謀役、柳沢 清人といって良いじゃろう・・・」


「柳沢・・・・・」


「でじゃ。 スッキリしないのは、ここ何ヶ月かの港の動きを探らせたが、怪しいところが全く無い。 海外から薬が入ってきた形跡が、まるで無いのじゃ。 とはいっても、質の悪い薬は、少量にはなっておるが入ってはきておる。 この女が持っていたような、質の良い薬が見当たらないという意味じゃ」


「じゃぁ・・・・・」


「そうじゃ、この薬は国内で作られたもの・・・」


「!? でも、この法治国家日本でそんな事が・・・」


「本気で言っておるのか? 法治の根源“法”も人が作ったものならば、管理、執行、処罰もまた人が行うものなり。 人間なんてものは、所詮欲の塊。 良き人もおれば、悪しき輩も何処にでもおる」


「でも・・・、麻薬の精製など・・・・・」


「できる訳が無い・・・・・、わしもそう思っとった。 じゃがな、妙な噂を耳にしたのじゃ」


「妙な噂・・・・・?」


「うむ。 最近の医療技術で、質の悪い薬をその技術で精製すると、質を上げる事ができると・・・」


「!? そんな事が・・・」



俺は、開いた口が塞がらなった。




                    ・・・つづく


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