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「歌舞伎者の街」  作者: 光鬼
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「歌舞伎者の街」 第17話

茜はハッとした。




「じゃっ、石神警部も・・・?」


「!? ククッ」


「あら? 何が可笑しいんですか? 先生・・・」


「あっ! 悪い悪い。 いや、ちょっと悪党になった哲さんを想像してしまった・・・」


「???」


「哲さんは大丈夫さ。 あの人は、曲がった事が大嫌いでね。 外見、暴力団の上前を跳ねてそうだけど、そんな事は絶対にしない人さ」


「でも、組織の中に居ては・・・」


「大丈夫。 あの人は自分なりの正義を持っていてね・・・、だから今でも昇進できない・・・ククッ」


「・・・信用してるんですね。 少し妬けます」


「!? よしてくれ。 信用も何も、ただの腐れ縁で相手の事が解ってしまうだけだ。 ・・・小島も“俺と黒岩が友達”とか言うし・・・修もそうだ! 大門寺も・・・。 何で皆、解ってくれないのかなぁ・・・・・。 信頼のおける友達なんて、とんでもない。 俺は、黒岩とも哲さんとも、縁があれば直ぐにでも切りたいと思っているのに・・・・・」


「先生! 縁があったら、切れないのでは?」


「あっ!? そうか・・・、え~っと、その・・・なんだぁ・・・・・」


「フフフフフッ」


「茜、笑うな・・・。 ん~~~、弱っった・・・・・」



痒くもない頭を、バリバリ掻きながら真剣に悩んでいた。



「先生。 良いと思います・・・」


「!? 何がだ?」


「この雰囲気です。 先生は今日1日、随分と考え込んでいた様な気がします。 私の我が儘もありましたが・・・」


「我が儘だなんて・・・」


「いえ、でもあの状況では、仕方のない事かもしれないけど、あのままでは良い考えは出てこないのではないでしょうか?」


「茜・・・・・」


「脱線してしまいましたね。 先生、話を元に戻しましょうか・・・」



(・・・・・ありがとう)



言葉には出来なかった。


ただ、感謝の気持ちと、茜が傍に居てくれて良かったと思う感情が、俺の脳に潤滑油を差してくれた。



「あぁ、元に戻そう。 警察の話だったな」


「はい」


「・・・・・警察の内部だけは、どうしても調べられない。 あんな閉鎖的な組織はないからね」


「石神警部にお願いしてみては?」


「それも出来ない。 いくら地方公務員とはいえど、サラリーマンと一緒さ。 組織の一員としては、上に歯向かう事は許されない・・・、逆にいえば、サラリーマンより辛いかもな。 これが、民主主義を守る公僕だと言うんだから、片腹痛いよ。 それに、この事を哲さんに話したら、きっと哲さんは裏を取ろうとするだろう。 それは哲さんの立場・・・違うな、命すら危険に曝す事になりえる・・・」


「はい」


「取り敢えず、警察の件は様子を見よう。 今は、打つ手は無い。 それからもう1つ、今夜の麗氏人へのアプローチを止めたのは・・・・・」



ジリリリリリーーーン

ジリリリリリーーーン

ジリリリリリーーーン



突然、俺も仲間に入れろと言わんばかりに、事務所の電話が主張した。



「いや、俺が出る・・・」



受話器を取ろうとした茜を遮り、俺が受話器を取った。



「・・・もしもし」



敢えて名前は名乗らなかった。


危険な感じがした・・・・・、理由は無い。


ただ、そんな感じがした。



「不動さん、いらっしゃいますか?」



厳つい感じの男の声だった。


尚更、危険を感じるバロメーターの針が振れた。



「・・・私ですが・・・・・」



答えた次の瞬間、針が振り切れるのを、耳ではなく頭で感じる事となった。



「いやぁ、ご本人でしたかぁ。 お久しぶりです・・・・・」




                    ・・・つづく

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