おじさん、だぁれ
「おじさん、だぁれ?」
俺の懐に入って猫が入ってきた。
「誰がおじさんだ……」
ライオン、百獣の王……そう、言われてたのは昔の話だ。
ライオンは死んだ。全滅した。
唯一残ってるのは俺だけだ。
嫁も、子供も、親も……全員、死んだ。
「あはは、おじさん!!!おじさん!!!」
猫は笑いながら俺の周りを跳ねる
「やめろ!!!暴れるな!!!」
猫というのはしたたかで俺の言うことなんて聞かない……
死んでもいい俺と俺の周りにある命……
「おじさんさぁ……なんで、1匹なの?」
猫が聞く……1週間の付き合いだ。
「みんな、死んだからだよ……俺は、誰も守れなかったんだ。1匹も……」
俺は涙など流れない。流していいわけが無い。なぜなら、俺が守れたはずなのに……
血は流れた。誰かに噛み切られたように無数の刃物の傷跡……
血が流れたのだから涙なんて、涙なんて……
「俺は、独りだ……」
猫は言った。
「1人じゃないよ?私がいるよ?」
1匹のライオンと1匹の猫……
これが1週間の記憶……
何も食べない、何も飲まない、お腹は空く……
血は流れても、流したくもない涙は泣かれても、腹は空く……
「ねぇ、今、1匹と1匹って思ったでしょ?同じライオンじゃないから同じ動物じゃないからって今は一緒にいる命なんだから2匹だよ?」
血は流れる。腹は減る。辛い、苦しい……誰も、目の前のみんなが……
「俺、お前食う……」
猫でも肉だ。今からこいつを食べよう……
「私を?食べる……?いいよ?お腹、空くもんね?」
猫は、俺の前に尻尾をユラユラとさせながら目を瞑った。
「姐さん……自ら命を差し出さないで下さいよ。死ぬ気ですか?」
サングラスをしたハリネズミがいた。
「姐さん……?お前、いったい……」
「猫組……知らんかい?キャットザホワイト……マフィアだよ……」
猫はニヤッと笑った。
その後はキャットザホワイトに飯をもらった。
生きるのが辛くても肉は美味かった。久しぶりの肉、生きるための、肉……
「生きてる。俺、生きてる。おい、姐さん……俺を、俺を組に入れてくれ!!!」
「いいさ、一緒に倒そうお前の仲間を殺したやつを倒しに……仲間にしてやるよ……」
そう、猫はいった。
ただ、俺は知らない……俺の仲間を、俺以外のライオンを殺したのがこのニヤついたこの猫だということを……




