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毎晩、眠る前に貴方のことを思い出す。

どうか「今夜の夢に貴方が出てきますように。」と願いながら。


だけど、貴方が出てきてくれたことなんて一度もない。

それが悲しくて、私は毎朝いつも少し落ち込んでいる。


だから、あの日。貴方に会えてことが、この上なく嬉しかったの。

ずっと、ずっと、ずーっと貴方に、ただただ会いたかったから。


ねぇ、告げた想いは迷惑でしたか。……いや、忘れてしまうぐらいなのだから、きっと、何とも思っていないですね。



拝啓、私の想い人さま

あんなに突き放されても、私は貴方を諦めることが出来ません。欲深い所は前と変わりません。


だから、もう少しだけ頑張らせて下さい。

今世の私が、もう少し生きたかったと後悔出来るぐらいに。


敬具、スノウェル・ドュロップ






───ピピ ピピピピ ピピピピ ピピッ




「……はあ、今日も出てきてくれなかったわね」




肩を落とすスノウェルは、少し恨めしそうに呟き、アラームを止める。

カーテンを開ければ晴天を予感させる空が目に入り、気持ちを切り替えた。

手早くスポーツウェアに着替え、キュッと高く束ねた髪。

玄関を開ければ、澄んだ空気に自然と目が覚め、スノウェルはまだ静けさの残る街へと走り出した。




「おはようございます」




スノウェル・ドゥロップの朝は早い。

5時起床、5時15分からランニングをし、6時にはシャワーを浴びる。

シャワーを終えればお弁当作りが始まり、家族で朝食を摂り終えれば身支度を整え始める。


今日から本格的にカレッジ生活が始まる。だから、スノウェルは、いつもより入念に準備を進めた。

ゆるく巻いた髪にナチュラルメイク。香りすぎないミストをふりかけ、昨晩決めた洋服に袖を通す。

床に散らばった雑誌を整えれば、さぁ、家を出る準備は整った。

スノウェルは自室から家族が集まるリビングへと向かった。




「スノー素敵よ、カッレジ生活楽しんで」



「お母様、ありがとう」





スノウェルは母、ブルーウェンに抱きしめらると、気恥ずかしそうにも、額に贈られるキスを受け入れた。




「何をそんなに浮かれているんだ、エスカレータ式なのだから何が変わる訳でもないだろう」



「それはそうだけど、せっかくの新生活よ。楽しむに越したことは無いじゃない」



「ふっ……そんなに色気付いて、また何かあったらたまったもんじゃない。……行くぞ、スノー」



「はい、お父様。それじゃあ、行ってきます。お母様」



「ええ、行ってらっしゃいスノー」




もう一度、ブルーウェンに抱きしめらると、スノウェルは小さくハニカンだ。






カレッジへと向かう車内。

スノーウェルの父、レインケェルが話し出す。




「クロウィアンの息子が復学するそうだ。あまり気を抜くなよ」




「クロウィアンの息子って、あの?留学から戻られたのですね」



「ああ、…あいつは昔から、何かにつけてお前と張り合っていたな」



「そうでしたね」



「何も今更負けてやることは無いからな」



「はい、お父様」




スノーウェルはレインケェルに微笑む。その笑顔に、レインケェルは「ふん」と鼻を鳴らして、視線を移した。


窓の外には慣れしたんだ景色が広がる。だけど、今日はどこか新鮮な景色に思えた。




「行ってきます。お父様」




風格ある建物の前に停車した車は、軽い足取りで歩き出すスノーウェルが見えなくなるまで止まっていた。大きな門を抜けたスノーウェルは、すれ違う人を目に映しながら、高鳴る気持ちを抑えるために深呼吸をする。


ここはレインズ・カレッジ。今日からスノーウェルの新しい生活が始まった。

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