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幸福や恋愛の象徴と呼ばれるフラミンゴをモチーフにしたカフェ「フェラン」は、味が美味しいのはもちろん、美男美女しか働いていないことで巷では少し有名だ。


スノウェルは昨年の冬から、ここで働いている。




「おはようございます!」



「ああ、おはよう。今日も一緒のシフトだったんだね、スノー」




裏から厨房を通り従業員の控え室へと入ったスノウェルに、最初に話しかけたのは「カプラ」だった。カプラは草原に吹くそよ風のように落ち着いた青年であり、年はスノウェルより3つ上だが、この店では同期にあたる。




「カプラさん、そうみたいですね!よろしくお願いします!」




穏やかな笑みを浮かべるカプラに、スノウェルもニコリと笑い返す。ブラウンを基調としたエプロンをつけて、髪を一つに結び身支度を整えれば、スノウェルとカプラは揃って控え室から出る。すると、カプラが「あ!」と何かを思い出し、徐に話し出した。




「そういえば、先週は凄かったね」



「え?……なにがですか?」



「スノーの公開告白だよ。いきなり目の前で告白するから、俺すごいビックリしたんだよ」



「あ……、その節はお騒がせしました。ハハハ」




告白。その言葉を聞いてい思い出す鮮明な記憶に、スノウェルは笑って返すしかなかったが、内心はフロスティーナの名前を思うだけで、胸が痛む。スノウェルは、気まずそうにカプラから目を逸らした。だが、カプラは話を続ける。




「まったく、俺がいなきゃもっと恥かいてたよ?感謝してよね!」



「わっ……ッちょ、カプラさん!」



「それじゃあ、今日も一緒に頑張ろうね」




スノウェルの頭をガサツに撫でた手を、ひらひらと振り、カプラは自分の持ち場へと向かった。そんな去り行くカプラの背中にスノウェルはため息を吐き出した。




「(……苦手だな、あーいう人)」




誰それ問わず優しい、非の打ち所がない好青年。だけど、そんな人でも裏の顔があることをスノウェルは痛いほど知っていた。


自分がそうであるように。



───カラン、コロン




「いらっしゃいませ!」




この世界に聖人君主なんていない。


オープンを告げる鈴の音に、スノウェルは伏せかけていた顔を上げた。


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