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「『結婚』って形だけですか?」

なんとなく、気になって聞いてみた。

(もし、本当に夫婦になるなら、ちゃんとルディを愛せるようになりたい。)

「朱莉が望むなら俺はいくらでもお前を愛してやるが。」

「………私は愛のある結婚をしたいです。まだ、貴方のことをよく知りません。だから、お付き合いするっていうことでいいですか。もちろん、形では結婚しているという(てい)でいいですから。」

愛ある結婚、なんて存在しないのかも知れないけど、私はルディを愛して、ルディに愛されたいから。なんて、口に出すことは出来なかったけれど、ルディはしっかり応えてくれる。

「もちろん、朱莉が嫌がることはしない。俺はちゃんと恋人として朱莉を愛したいからな。」

「……ありがとうございます。」

まっすぐな言葉。嬉しいけど、少し恥ずかしい。

(本当に私なんかで良かったのかしら。)

この国を乗っ取るなんて、よく分からないけど、国が良くなるならそれでいいのかもしれない。

「朱莉、契約はなしでいいか。」

「え?」

「結婚するんだ、他の契約なんかいらないだろう。」

「……それもそうですね。」

(結婚………)

なんだか不思議な感じがする。私が結婚なんて考えたこともなかった。ただ、巫女として生きて、跡継ぎの子を生んで、それでおしまいだと思ってたのに、人生は不思議なものだと改めて思う。

「そうだ。朱莉、すまないが一条の者たちにこのことを伝えておいてくれ。」

「それは構いませんが、森に帰るのですか?」

「あぁ、森の様子が気になる。詳しいことは明日決めるぞ。」

「分かりました。お気をつけて。」

「ありがとな。」

そう言うとルディはすぐに帰っていった。

(少し心配ね。森が騒いでいる気がする。)

「朱莉様、話し合いは終わりましたか?」

「薫。私、結婚することになったわ。」

「そうですか。」

「え?」

「え?」

「結婚、するのよ。」

「誰とですか?」

「さっきの森から来たひとよ。ルディっていうのだけどね。森の王らしいわよ。」

とりあえず簡単に言えることを言って、あとは皆が集まってからにしようと思う。

「………………」

薫は固まって動かなくなってしまったし、小次郎を呼ばないとダメかもしれない。

「小次郎。話があるのだけど…」

「おや、話し合いはもう終わったのですね。」

「えぇ。私、結婚することになったわ。」

「は?」

「薫と同じ反応じゃない。」

小次郎なら話を聞いてくれると思ったのに、小次郎まで、固まってしまった。

「薫、小次郎。皆を集めて頂戴。結果を伝えるわ。」

「、、、はい。」



「皆、集まってくれてありがとう。小次郎と薫にはもう伝えてあるのだけど、私、結婚することになったわ。」

『は!』

皆同じ反応をする。まぁ、今まで恋人どころか好きな人さえいたことがなかったのだから驚くのは当たり前なのかもしれない。私は、今日あったことを皆に話した。

「そういうことだったのですね。」

薫は『納得しました!』みたいな顔をしていたけど、その他の皆は頭の上に『??』を浮かべていた。

「とにかく、私はルディと結婚することになったから、これからは森の者に手を出すことは禁止するわ。明日詳しいことを話し合う予定だから今日はこれで解散にするわ。」

私はもう面倒になって話を切り上げた。皆を帰したあと、頭のなかで今日あったことを思い返しているうち私はいつの間にか眠ってしまっていた。


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