会談
ちょっと、変かも……
なにかあれば、ぜひご意見お願いします。
数日後、森の者たちが私の屋敷に到着し、一条家と森の者たちとの会談が始まった。
「お集まりいただきありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。」
「丁寧なもてなし感謝する。」
一条家からは、私と薫と小次郎の3人が、森の者たちからは、代表のような方とそのお付きの方、そして、先日協力を持ちかけた者がいた。代表とお付きの方は完璧な擬態をしているので、かなり力のある者だと分かる。先日協力を持ちかけた者は不完全な擬態でオーラの制御もそこそこだった。
私たちは簡単な挨拶を交わしたあと、すぐに本題に入った。
「なぜ、我らをここに呼んだ。」
まず、森の代表が質問をしてきた。その一言にはトゲがあるように感じたが私は素直に応える。
「森の方々と友好な関係を築きたいからです。」
「人間が、か?」
(やっぱり、怒っているのね。)
森の者たちにとって私たちも街の人間も同じ『人間』でしかない。森に入り好き勝手した人間がいる以上、私たちにも責任はある。
「そうですね……。人間が勝手に森に入り、貴方がたの神聖な森を汚したのは事実。本当に申し訳ございませんでした。」
私が深々と頭を下げると、森の者は静かに告げた。
「森の管理をしているのはお前たちか?」
(森の管理………)
街の人間からみた一条家の印象は、『森の魔物を倒す者たちである。』という具合だろう。けど、実際はそんなイメージとは全く違う。そもそも、一条家は人間の守護を目的とされた家ではない。昔、森の者と人間の間に争いが起きたことがあったらしい。そのときに仲介役として一条家が関わった。それをきっかけに一条家は森の者と関係をもち、森の守護・管理を任されたのだ。それから時がたち事情を知るものが減ると、いつの間にか『一条家は森の魔物を倒す者』というイメージが広まった。そして、下手に街の人間を刺激しないよう、対外向けに『森から出てきた魔物の討伐』をうたっていたのだ。
「………森の管理は確かに私たちの仕事です。」
「そうか……」
(森の管理を任されていながら、森への侵入を許したことは大きな失態。怒られても仕方がないわね。)
殺されるようなことはないだろうけど、下手に誤魔化せば自分達の身を危険にさらすことになり得る。
私は緊張しながら次の言葉を待った。
「お前たちはなぜ、人間ではなく森の者を守る?」
「え?」
「怒り狂った者共が何度森から出ても、一時的に弱めて森に返すだけだ。そのせいで、犠牲者が出ても同じことをし続けることにはなんの意味があるんだ?」
「わ、たしは…」
「責めているのではない。むしろ、感謝している。だからこそ、気になるのだ。お前、ずっと力を抑えているだろう?」
(気づかれてる………仕方ない、のかな?)
「2人とも、席をはずしてくれる?」
「朱莉様……」
「大丈夫だよ、薫。心配しないで。」
「なにかあれば、すぐにお呼びください。」
「ありがとう。小次郎。」
私は深く呼吸をした後、森の者たちと向き合う。
「すまないな。気を遣わせたか?」
「いいえ、協力を持ちかけたのは私です。ならば、私には全てを話す義務がある。ただ、これは、あまり話したくないことですので。」
「そうか。では、この部屋の声が外に漏れぬよう、結界を張ろうか?」
「……そうしていただけるのなら、ありがたいです。」
「わかった。」
「ありがとうございます。」
森の者は思ったより、気遣いが出来るんだな。
なんて、現実から目を背けながら、私は私の過去について、全てを話した。