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動き出す運命

魔物は基本、森から出てこない。

もし、出てくることがあったとしてもそれは人間に擬態可能の力の強い魔物だけだ。と、言われている。これは、一条家の言い伝えで、ここ十数年は擬態した魔物は出たことがなかった。それなのに、ここ最近は、魔物が出てくることが多くなってきていた。しかも、大抵の魔物が怒りをあらわにしているのだ。一族の者も皆、不思議がっていた。

「最近の魔物の様子はおかしいです。」

「基本的にはおとなしいはずの魔物たちがなぜ?」

皆口々に不安を口にしていた。だから、私が国の会議に出たのに……それすら、無駄だったなんて。

『聞いてください。貴方たちの仲間を殺したのは、おそらく街の人間です。』

『街の、人間?』

『えぇ、この前と同じ人間が来たのでしょう?』

『そうだ、』

『では、確実に街の人間です。』

『街の、人間、許さない』

魔物たちは一斉に街の方へ行こうとする。

『待ってください。』

『なぜ』

『私は、貴方たちの味方です。街の人間が憎いのは私も同じ。だから、協力しましょう。』

『………』

(やっぱり簡単に信じてはもらえないよね。)

『協力、考える』

「え?」

『信じて貰えるのですか?』

『お前たち、仲間、殺さないから』

そう言って魔物たちは帰っていった。

今回森から出てきたのは言葉も少ししか話せない魔物たち。だから、森の権力者に話をしに行くのだろう。魔物たちはお互いに意志疎通が出来るし、言葉を話す必要もないからきっと今回のことは権力者の耳に入るはずだ。

(良かった。信じて貰えた。)

長時間力を使っていたからか少し疲れてしまった。

「朱莉様、大丈夫ですか?」

「えぇ、大丈夫よ。」

ふらついた私のもとにすぐに薫が来てくれる。

「おそらく、数日後、森の中である程度権力を持った者が私たちを訪ねてくると思う。それまでに、皆ぬ説明したいことがあるから、今日の夕方までに私の家に来るように伝えてちょうだい。」

「分かりました。そのように手配いたします。」

薫は私の要求に必ず答えてくれる。おそらくあと数時間で一族の者は皆私の家に集まるだろう。私の家は一族でも一番大きいお屋敷だ。人を集めるスペースぐらい余裕である。問題は、今回のことをどう伝えるかだ。

(どうしよう。皆、信じてくれるかな?)

私は不安な気持ちであと数時間を過ごすことになった。

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