16歳
1
「へへ、お兄ちゃんと並んじゃったね」
高校生になっても、詩音の成長は止まらない。
すでに身長は172センチあると教えてくれた。これは僕と同じ身長だ。
うーむ、妹に並ばれてしまうというのはちょっとなぁ。兄としての尊厳が……
いやでも、高身長女子のエロスもそれはそれで――
「……私ね、またバレーやろうと思うんだ」
詩音は思いつめたような表情で言った。
「中学では、色々あって続けられなかったけど、また頑張ってみようと思うんだ」
どうやら真剣な話のようだ。
「お兄ちゃん……」
詩音は左手の傷を撫でる。
詩音は詩音のやりたいことをやればいいんだよ。きっと、詩音は僕に気を使っているんだろうね。
何かをしなくちゃいけない、とは思わなくていいんだ。
君の人生は君だけのもので、僕に縛られてしまうことを、僕は望んでいない。
ただ、詩音が本気でバレーをやりたい、頑張るというのなら、僕は応援しているよ。
「私、頑張るから」
その意気だ!
2
「ただいまぁ」
それにしても、と思うのは。
「お兄ちゃん、ただいま」
おかえり、詩音。
「今日も頑張ったよぉ」
バレーの練習着というのは、どうしてこんなにエロいのだろうか。