11/21
10歳
1
「お兄ちゃんは将来の夢とかあった?」
詩音は憂鬱そうな顔をしている。
どうやら『将来の夢』についての作文が宿題として出たようだ。
詩音はまだ小学四年生。
将来について考えるなんて、まだ早いだろうに。
ちなみに僕の将来の夢はプロ野球選手になることだった。
「うーん、将来かぁ……」
そういえば、詩音は昔、僕と結婚すると言っていたが、憶えているだろうか?
「ずーっと、働かずに遊んで生きていきたいなぁ」
こらっ。
「なんて、冗談冗談。真面目に考えなきゃねぇ。アイドルは子供っぽいかな」
詩音ほどの美少女なら、アイドルに女優、モデルなんかもいいだろう。
ああしかし、世の中の男どもに詩音の美貌が晒されてしまうと考えると、それはなんだか嫌だな。
詩音は僕だけの可愛い妹でいて欲しい。
「うーん、ここはやっぱりお嫁さんかなぁ」
お兄ちゃんの?
「ウェディングドレス着てみたいんだよねぇ」
詩音のウェディングドレス姿を想像してみる。
純白のドレスに身を包んだ10歳の詩音。
たまらないぜ!