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銃と少女と紅い百合  作者: 彼方リカ
血に染まる百合と私の出会い
8/116

1-8 失敗作とunknown×2

 パチパチパチパチ

 

死体を背に歩き出したとき手を叩く音が何もない倉庫に響いた。


「すーごいじゃん、ドカンドカンうるさくて眠れなかったから途中からみてたけど」


 目的の二階の部屋の前に次の獲物が立っていた。


「あら?こっそり逃げ出そうとしてるかガタガタ部屋の隅で怯えてるんだろうと思ってたけど、降伏でもしに来たの?」


 蛇原とセンセはアイツの名前を言っていたか、公園の時と変わらぬ姿で男は飄々と立っていた。


「謝ったら許してくれる感じ?んな訳ないよなあー?」


 カッカッカッと余裕そうに笑いだす。視界には自分の用心棒の男の首なし死体がうつっているだろうに。


「そうね、あんたに一秒だって使いたくないから、そのままそこで待ってなさい虫でも殺すみたいに無慈悲に屈辱的に殺ってあげるから」


 先ほどの戦闘で口にしていたキャンディはもう溶けている。ペッっと口に残っていた棒を吐き出すと真っ白になっていた髪も黒と白に戻っていた。


「おお怖い怖い、うちの”終人機関”《しゅうじんきかん》からこんな不良がでるなんて私は悲しいよ」


 終人機関。私とみーちゃんを実験していた施設、思い出したくもない名前。


「気付いてたのね、私たちの事なんて使い捨ての実験道具としか見てないと思ってたわ」


「只の道具としか見てないっての、今のお前の動きと反応見て昔一匹処分しそ損ねてたの思い出しただけ、基礎の”因子”だけの失敗作の癖に上手くつかってんじゃん」


 因子?私のこの力、体質の事? そういえば昔センセに聞いたことがあるけど、「普通に生きたければ生きられる、だから気にするな」って言われたからあんまり深く考えてなかったわ。


 別にムカつく悪人と戦うのに便利だし気にしてなかった、失敗作ってのが気に食わないけど。

・・・失敗作の私には何も興味がないようだけど、それならあの子は・・・?


「じゃあわざわざみーちゃんをまた連れ去ったのはなんでよ?道具にわざわざご苦労様ね」


「ん?ああ、あれはね、ガチャなの、お前と違ってSSRが出る可能性があるガチャ、当たれば嬉しい外れたらゴミカス、わざわざ回収に向かう価値がある程度には期待値があるってだけ」


 ほんっとにコイツは人を舐めすぎてる。もうプッツンして飛び掛かりそうだけど、みーちゃんも私みたいに普通じゃない何かがある?その疑問が少しだけ理性を保たせてくれていた。


「ムカつく言い回ししか出来ないモヤシね、何かあればセンセに調べてもらうし、もういいわ」


「そうだなー懐かしい失敗作も見れたしガチで眠いからさ、お前、もういいよ」


 タンッっと男は二階の通路から飛び降りた。普通の人間なら骨折、頭を打てば死ぬ可能性もある高さだったが男はちょっとした段差を降りるかのように着地した。


「へー、あんたみたいなモヤシ科学者って脳みそだけかと思ってたわ、やれるの?」


「そんな飴玉レロレロしてないと戦えない失敗作は無かったことにしないとなあ、昔の自分の拙い創作物は見たくないもんだ」


 さっきのキャンディの効果はもう切れている、一日に使えるのは三本まで。一本で大体五分効果が持続する。


「ごめんねみーちゃん!!もうちょっと待っててねー!!!」


 私はみーちゃんがいる部屋に叫んだ。そして

フリルの下から今日最後のキャンディを取り出した。


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