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銃と少女と紅い百合  作者: 彼方リカ
8 おもたん(仮)
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78/120

8−3 すぽーつ

「それで・・・ 何するの?」


 サクラ達の前まで戻って来たライカ達に尋ねる。


持っていかれていたパンとたい焼きの入った袋はUNOのカードが散らばった机にフーカが置いた。


「何それ? ボール?」


 ライカが持っている物を見てフラムも言う。


「にゃはは、もう少し待ってて!」


 ボールを脇に抱えてライカは胸を張る。サクラが後ろを見るといつの間にか公園の中央に移動していたフーカが木の棒で地面に何か線を描いていた。


「よいしょ、よいしょ・・・ こんなもんかな〜? ライカ〜 出来た〜」


 棒を地面から離すとフーカがこっちに手を振った。


「よっし! じゃあこっち集合!」


 言われるままに三人はフーカの元へ歩く。そのままフーカが木の棒で描いていた線を見るとそれは真ん中で区切られた長方形のコートだった。


「私達はこっち!」


 ライカがフーカの手を引いて区切られたコートの片方へ入る。


「サクラお姉ちゃんとフラムはそっちね〜」


 フーカがもう片方のコートを指差す。サクラとフラムは言われたコートの中に入った。


「よっし! 勝負!」


 ライカが対面の二人に人差し指を突きつけて元気に宣言。


「いや! まず何やんのか説明しろって!!!」


 フラムがもっともな事を叫ぶ。


「えぇ? 分かるでしょ!? ドッジボールよドッジボール」


 持っていたボールを器用に立てた人差し指の上で回しながらライカがキメ顔で言った。


「4人だけだから外野は無しだよ〜 当たったら失格で〜 二人共失格になったら負けのサバイバルルール〜」


「殺るか殺られるかの何でもありの本気バトルよ!」


 一方的にルールを説明する双子達。


「ドッジボール・・・ 凛々奈に借りた漫画で見た事ある・・・」


「そうなの?」


 フラムがサクラに向き直る。


「うん・・・ 女の子が大きなお墓にボールを投げてぶつけてた」


「なにそれッ!?」


「・・・・あ、でも外野がいないならボールが飛んでっちゃったらどうするの?」


 サクラは気になった点を質問する。


「それなら気にしないで大丈夫だよ〜」


 大丈夫らしい。


「もお! ルール分かったでしょ!やるぞやるぞやるぞやるぞ!!」


 ライカは手に持っていたボールを構えて投げる動作に入った。


「ええ!?」

 

 驚くフラムを無視してブオンッ! と大きく風を切る音が鳴り響き凄まじいスピードのボールがサクラの顔を目掛けて放たれた。


「きゃっ!」

 

 サクラは咄嗟に驚いてそれを躱す。そのままの勢いでボールは遥か先まで飛んでいってしまうかと思われたが。


「あ、そ~れ〜」


 フーカが右手を大きく動かすと突然ボールの進行方向から突風が吹き、勢いを弱めてそのままフーカの方にボールを飛ばした。


「コートの外に出ちゃったらまた相手ボールだからね〜」


 風によってふんわりと自分の方に落ちてきたボールを優しくキャッチしてフーカが言う。


「風・・・・ の力・・・・?」


 目の前で起きた現象に驚きフラムの言うとおりこの双子たちは普通の子供ではない、自分と同じ特別な力の持ち主である事を思い出す。


「そっちが投げたボールも僕が飛ばしてあげるから遠慮なく投げていいよ〜 ちなみに・・・」


 フーカもボールを投げようとする。腕だけを使ういかにも運動には不慣れと感じる不器用な投げ方だったが。


「顔面セーフのルールは無し!!」


 放たれボールは華奢な少女から投げられとはとても思えない豪速球。 その軌道はサクラの隣にいたフラムの顔に向かっていた。


「よっしゃあ! 来い!!」


 構えをとりキャッチしようと身構えるフラムだったがまた突然突風が吹き荒び、フラムの顔に当たる瞬間にボールが急降下してフラムの腹部に直撃する。


「ボエぇ!!」


 変な声が聞こえると勢いよくコートの外まで吹っ飛ぶフラム。 ゴロゴロと地面を転がってから起き上がる。


「うがあああああ! 鳩尾に入った!!!!!」


 涙目になって喚いている。


「ふざけんな!! お前今能力使っただろ!! インチキだ!!!」


「え〜? 何でもありの本気バトルって言ったでしょ〜 使いたかったらそっちも使っていいんだよ〜」


「ドッジボールで炎出して何すりゃいいんだよ!!!」


「ん〜 燃える魔球?」


「ボール溶けちゃうでしょ!!!」


「そんな事よりアウトだからね〜」


「敗者はこのコートの中に立つ資格は無いわ! 出ていきなさい!」


「ぐぎぎぃ、いつか絶対こいつらギャフンと言わせてやる!」


 フラムはお腹をさすりながらトボトボと歩いて近くの椅子に座った。


「あれ? そういえばボールは?」


「あ、僕も見てなかった・・・」


「・・・・ここ」


 見るとサクラが先程のライカの様に人差し指の先でボールを回していた。


「フラムに当たったけど外に出る前に取ったからこっちボールでいいよね・・・・」


 コートの自陣の中央にサクラは立つ、一瞬で二体一のピンチ、しかも相手は風を使ってボールを操ってくる。


「にゃはは! フラムみたいに吹っ飛びたくなかったら降参したら? お姉ちゃん!」


「サクラお姉ちゃんをやっつけるのは気が引けちゃうな〜」


 余裕の表情の双子達。


「大丈夫・・・ 負けないから・・・ たい焼きはあげない」


 パシッ


 回していたボールを両手で持つ。


「まずはフーカ・・・ 貴方から」


 狙いを定めて構える。


「僕に当てられるかな〜?」


「使ってもいいのよね・・・・」


「ん〜?」


 サクラは投げる。綺麗なフォームでまっすぐフーカを狙う。


「甘いよ〜お姉ちゃん」


 フーカは構えながら自身の能力でボールの威力を殺そうと風を起こす。しかしボールはその風を受けると急に不規則な動きで大きくブレだした。


「あれ?」


 ボコん


 その不規則な動きに反応できなかったフーカの額にボールが直撃する。風で勢いを殺されていた為にフラムの様に吹き飛ぶ事はなかったが大きく後ろにのけぞった。


「いだい〜!」


「がははははは!ざまぁみろ!!!」


 横からフラムが笑う。


「なに〜今の〜 魔球〜?」


 フーカは少し赤くなった額をさする。


「秘密・・・・ フーカ・・・・アウト」


「うう・・・ ライカごめんよ〜」


「ふふん! まっかせときなよ!」


 フーカもコートから出てフラムの隣に座った。コートの中にはフーカに当たったボールがライカの前に転がっている。 そのボールの一部にキラリと赤く輝く結晶が付着している。 サクラはこっそりと血の結晶をボールに付ける事で重心をずらし、不起訴な変化球を生み出していた。


 ライカがボールを拾おうと近ずくと付着していた結晶は粒子になって消えた。 それに気付かずボールを拾いあげたライカがサクラを見る。


「一対一、タイマンだねお姉ちゃん!」


「早く・・・ 終わらせよう・・」


「マジマジの本気で行くからね!!」


 ライカが言うとバリバリと体の周りを黄色い閃光が駆け抜ける。


「何あれ? 何すんの? 10万ボルト?」


 座っているフラムがフーカに聞く。


「ライカの能力は電気だからね〜 自分の体で電気を増幅させて身体能力を強化する事も出来るんだよ〜 どうやってるのかは僕も分かんな〜い」


「フルパワーだッ!!」


 バリバリと音をたてながらフラムに投げた時とは比べ物にならない威力と速度のボールが放たれた。 サクラの胸目掛けて襲いかかるそれをサクラは全力で受け止める。


 直撃した衝撃で公園全体が震える。


「ねえ、これドッジボールだよね?」


「そうだよ〜 激アツだね〜」


 なんて事を観戦組が言っていると。


パァン!!!


 サクラの方から破裂音が響く。聞こえた音の方を見ると。


 ダランと破裂して破れたボールだったものがサクラの手に乗っていた。


「・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・」


 コート内の二人はなんとも言えない顔で立っている。


「そりゃそうなるだろ!!!」


「あはははははは!! 引き分けだね〜?」


 ベンチ組は立ち上がりコートの中へと歩く。


「派手にやるんだから〜 人気の無い公園で良かったね〜 それじゃあゲームセット〜 結果は引き分けで〜す」


 P〜〜〜


 フーカがどこからか取り出したホイッスルを高らかに吹き、いきなり始まった超人少女達のドッジボールは終わりを告げた。

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