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銃と少女と紅い百合  作者: 彼方リカ
Blood Blade Grim Reaper
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6-5 貫く真紅の槍

 凛々奈の頬に冷や汗が流れる。


 フラムとみいなをタクシーに乗せた時、凛々奈は感じた殺気と気配から襲撃者の力量をある程度察していた。自分一人で対処出来るレベルの相手だと。


 だから一人で誘き寄せて始末する事を選んだ。

そして現に襲ってきた男は、凛々奈が新しい力を試しながら勝利できる程度の相手だった。


 だが今目の前にいる少女には眼下で死体になっている男とは比べ物にならない程の力を感じている。


「こんな事になるなんて予想出来ないっつーの・・・」


 小さく呟く。そして目の前の少女に語りかけた。


「噂の死神さんってのはアンタの事か、まさか同い年くらいの女の子なんてね」


「死神・・・? わたしは・・・サクラ・・・」


 名乗った少女は大鎌をブンッと振って付いていた男の血を払う。


「サクラ? 名前? 私は凛々奈、白銀凛々奈よ 先に言っておくけど私はアンタと戦う理由も必要もないから・・・ このまま帰らせてもらえると嬉しいんだけど?」


 言い終わる頃、凛々奈の髪の色は元に戻る。フレイムレイヴの効果がきれた。


(ツッ!? 今かよ!)


 焦りの表情が出てしまう。


「だめ・・・ あそこに関わった奴らは皆殺しにするの・・・ その力、機関の実験体・・・」


 サクラと名乗った少女は大鎌を構える。


「復讐かしら? 分かるわよ 私もおんなじ感じだったし、誰かに何か言われた位で止まる様な憎しみなら、人殺しなんてしないもんね・・・」


 凛々奈は少し昔の自分を思い出して懐かしいそうな顔をする。そして懐から2本目のキャンディ、桃色のクロノスタシス取り出して口にする。


そして装飾銃パレットバレットを手に構えた。


「悪いけど、家で私の天使が待ってるから アンタにゃ殺されてやんない!」


 凛々奈の髪も白く染まり吹き抜けから抜ける風が二人の綺麗な白い髪を揺らす。


 先に動いたのはサクラ、紅い大鎌を振りかぶり一瞬で間合いを詰め凛々奈の首筋へ切り払う。


「こいつッ!? 早すぎッ!?」


 それを大きく後ろに仰け反り回避するがサクラは少女の細腕からは予想のつかない力強さ、速度で大鎌を切り返す。


 高速で襲いかかる斬撃を凛々奈はギリギリの所で躱し続ける。


(あっぶな・・・ これ丁度効果切れてクロノスタシスに変えてなかったらそこの男みたいに私の首も飛んでたわ・・・)


 強化された動体視力でなんとか斬撃を躱してサクラの一瞬の隙に胴体を蹴り飛ばす。距離が離れる二人。


 そしてサクラが体制を整えようとしたその時。


「“SB赤の爆撃”《エクスブレッド》!!」


ズガァン


 パレットバレットから赤い銃弾が発射される。SB"スキルブレイカー" 対能力者用に強化された銃弾はサクラの位置で大爆発を引き起こす。


バゴォーン!!!


「うお〜!?」


 あまりの爆発の衝撃に駐車場内が振動する。


「強化しすぎでしょ武器オタさんよ、 でもこれなら・・・・」


 モクモクと着弾点は煙に包まれている。


「すごいですね・・・ 私に反撃してきたのは、この前殺し損ねた女の子と貴方だけです・・・」


 煙の中から声が届く。


「・・・だよね、これで殺れる相手ならこんな焦ってないっての」


 煙が晴れるとそこには真紅の大きな盾とその後ろに無傷のサクラ。いつの間にか大鎌は消えている。


「何それ、どっからだしたの?」


 次の弾を装填しながら凛々奈は言う。


 サクラは構えていた盾から手を離すと盾は形を崩して紅い光の粒子になってサクラの首筋へと流れていく。よく見ると彼女の左の首筋には大きな傷跡があった。そこへ真紅の粒子は流れこむ。


 その様子を見て凛々奈は感じた、フラムとは違う自分と同じ不完全な力の気配。


(やっぱりコイツは私と同じ・・・・!!)


 目の前にサクラが現れた時から凛々奈は自分と同じ力を何故か感じていた。それは彼女の中の因子の影響なのか。


(アイツも何かしらのドーピングであの力を使ってるなら効果時間がある筈・・・! 後からクロノスタシスを使った私の方が効果時間が持つ! 長引かせて向こうの効果時間が切れるまで耐えたら私の勝ちだ!)


 凛々奈は勝つ為のプランを立てる。


 サクラは右手を首筋の傷に添えた。


「ブラッディマテリアル」


 サクラが言うと先程みた紅い粒子が傷跡から流れ出し添えた手に集まる、そして。


「ツインエッジ」


 その手には二対の紅いナイフが握られていた。そして片方のナイフを空いていた手に渡して両手に逆手に構える。


「へぇ、便利だね それ」


(血から武器を精製する能力・・・ かな?)



「もっと早くいきます」


 凛々奈の視界からサクラが消える。


「なっ!?」


 気付いた時にはサクラは凛々奈の前で低く踏み込んでいる。 武器を大振りの鎌からナイフに替え動きやすくなったのもあるが、今サクラは凛々奈の瞬きの刹那に凄まじいスピードで距離を詰めていた。


シュッ!


 二振りのナイフによる更に早い斬撃を凛々奈は紙一重で躱す。


キィン! キィン!


 躱し切れない攻撃はなんとかパレットバレットの銃身で弾いて凌ぐ。


(クソッ! ナイフぶっ壊すんじゃなかった!)


 少しだけ思考が濁ったその隙を、サクラは見逃さない。


「そこ」


 ザンッ


 凛々奈の腹部が横に一文字に切りつけられた。


「痛っつ!」


 傷から血が吹き出す。


「とどめです」


 サクラは情けをかける事も無く刃を首に向かって振り払おうとする。


「このっ! ゲルブフラッシュ|《黄の閃光》」


 咄嗟に凛々奈は銃を撃つ。着弾点は二人の間の地面。そこから激しい閃光と爆音が放たれた。


「小癪・・・・です」


 目を腕で庇いながらサクラは後ろに距離とった。


 凛々奈も目を庇い後ろへ飛ぶ。


(傷は!?)


 軽く切られた腹部を擦る。


(良かった・・・そこまで深くない、 あと数ミリ深かったら内蔵出てたわこれ)


「耳が・・・キーンとします・・」


 サクラは両耳を抑えて不快そうな顔をしている。


「自分でもスタングレネードは使いますが、こんなに近くで爆発したのは初めてです・・・」


 ブンブンと頭を振ってから再びナイフを構えた。


「私もよ・・・ でも私達ならもう耳位なら治るでしょ?」


「そうですね・・・」


(クロノスタシスの効果ももう終わるッ・・・ コイツいつまで・・・!?)


「貴方が強いのはよく分かりました、もう出し惜しみしません」

 

 サクラはナイフを首筋に戻すとそこから今迄とは比べ物にならない量の血の粒子が吹き出す。

 キラキラと輝くそれはサクラの手に集まって身の丈程の槍の形をとった。


「これは・・ヤバイかも・・」


 急いで次の弾を装填するが今対峙している槍からは凄まじい密度とエネルギーが蓄積されているのが分かる。恐らくサクラの必殺の一撃。


「アンタ・・・時間制限とか無い訳?」


 クロノスタシスの効果時間が、終わる。


「じかん? 知りません」


 サクラは身を地面ギリギリまで低く構える。片足を曲げてもう片方は相手に真っ直ぐ伸ばし右手で槍を引く。それは限界まで張り詰めた弓のやうで。


「終わりです・・・」


「ブラッディランス」


 そして放たれた槍は空気の壁をぶち破る、音速の一閃。


「ッ!!!!! 白の衝撃ヴァイスインパクト!!!」


 咄嗟に撃ち落とそうとする凛々奈だったが迫りくるのは音速を超えた一撃。クロノスタシスの効果が続いていたとしても、対応できていたか分からない、弾丸は発射することは叶わず。


 その槍は、パレットバレットごと凛々奈の右手を打ち砕き。


 凛々奈の胸を貫いた。



lastparm事務所


「アキ〜 りりなが隠してたう○い棒見つけた〜

食べよ〜」


「嫌だよッ! 私怒られたくないもん!」


 フラムとみいなは無事に帰ってきていた。


 みいなは一人、窓の外を見ている。


「凛々奈さん、 早く帰って来ないかなぁ」

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