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銃と少女と紅い百合  作者: 彼方リカ
私がいたいのは
115/115

10-24 レム=フィフィファリア


 真っ白な部屋を覆う土煙がゆっくりと薄くなっていく。凛々奈は銃を構えていた両腕をダランと下ろした。死闘の末放った最後の一撃はネージュに直撃し彼女を壁面まで吹き飛ばしていた。


「・・・・・!!ッハア、ハア」


 凛々奈は大きく呼吸を繰り返す。一呼吸の隙で死に至るレベルの戦いが終わり、肩を大きく揺らし酸素を取り込む。


「終わっ・・・た・・・か・・」


 呼吸にのせて絞り出すように凛々奈は呟く。同時に彼女の髪は元の黒と白の髪へと戻っていく。


「早く・・・みぃちゃんを・・・」


 満身創痍の体のまま歩きだそうとしたその時。


「このッ! 出来損ないがアアアアアアアアアア!」


 激しい怒声が部屋を揺らした。


「つッ!?」


 凛々奈は声に振り向く。そして砂埃の向こうに立つ少女を確認すると口角をあげて煽り口調で言った。


「あーあ、腰から上全部ぶっ飛ばしてやったと思ったんだけどねぇ!! それだけで済んでよかったなぁ!? オイ!!」


「殺す!! 殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺してやる!!!! 白銀凛々奈アアアアァ!」


 現れたネージュは純白のワンピースを己の血で真っ赤に染め、怒りと憎しみに歪んだ顔で凛々奈を睨む。その彼女の右腕が消えている。えぐりちぎり取られたような悲惨な傷口は血の混ざった紅と青白い奇妙な色の氷で覆われ止血されていた。


「その怒りようだと流石にぶっ飛んだ腕は生えて来ないみたいね!」


「黙れぇ!! ぐちゃぐちゃにしてぶっ殺してやるッ!!」


 二人は叫びまた臨戦態勢をとろうとするが、その勢いのまま地面に倒れ込んだ。既に2人とも限界を超えている。


(・・・・・マズイ、動け動け動け動け! みぃちゃんを取り戻すんだ!)


(殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!!! 白銀凛々奈!!)


 二人は歯を食いしばりながら震える手で体を支えて片膝立ちまで体を起こした。最後の力で凛々奈が銃のリロードを、ネージュが氷の武器を精製しようと力を込めたその時。


「帰りますよ、ネージュ」


 声が二人の動きを止めた。


 ネージュの横には黒いドレスを身に纏った黒髪の少女が立っていた。


「邪魔するなぁ!!!」


 ネージュはその少女を残された血塗れの左手で突き飛ばそうとするが少女はヒラリと体を揺らしその手を華麗に躱した。


「・・・・言う事を聞かない人は嫌いです」


 不愉快そうに言うと少女はネージュの顔にそっと手をやると何故かネージュは体の動きを止めてまた地面に倒れ込んだ。


「レム・・・・!! お前ッ!!・・・・こ・・・の・・」


 ネージュは少女をレムと呼び睨みつけるがそのまま眠るように意識を失った。


 唐突に現れた少女に困惑していた凛々奈はその様子を見て警戒したまま中断していたリロードをしようとするがそれは少女の声でまた遮られた。


「白銀凛々奈、今夜はもう戦う必要はありません」

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