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剣士の国  作者: quo
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大人の女性 アリア

雨が降り始めた。


森の中。流れる川に次々と雨粒が波紋を作っていく。流れる水は血と泥で濁っていた。

水面に浮かぶ剣士の骸には、首はなかった。少し下流の岩に引っかかっている。


剣士は白い面を取った。黒髪の少女。彼女は剣を鞘に納めると、川の中を歩いて行く。

そして、首を拾い上げて切り口をじっと見つめた。


「怪我はない?」森の中から人が出てきた。同じ剣士の女性。

「また一撃ね。苦しみは無かったはずよ。」

おめでとう。そこまで言うと、剣士の少女に、にらみつけられた。


「冗談よ。ルカは皆が認める慈悲深い剣士よ。」

彼女はそういうと、拾い上げた首を河原に置かせ、ルカが脱ぎ捨てていた外套を着せた。

「雨が降ってきたね。」


剣士の女性はアリア。ルカと一緒で「執行人」。ここ二年間で何回か組まされていた。

「執行人」は、相手が複数人だとペアで行動する。


アリアはルカとは正反対の大人の女性だ。肩まで伸ばした、美しく波打つ黒髪に、少し緑がかった黒い瞳。人を虜にするような艶のある笑顔。根っからの世話焼きで、ルカもその対象だ。


変わり者で、自由人を自称していた。監査役の命にケチをつけるのは日常茶飯事。仮病で儀礼を休んで、騎馬戦大会に参加したのがばれて、謹慎させられたこともあるそうだ。今現在、面を持っているのかでさえ怪しかった。


「森に逃げたやつは仕留めたわ。」

ルカは森から聞こえる悲鳴で知っていた。


アリアは、片刃の大剣を使い、防御する時間を与えないほどの連撃で相手を討つ。手足と胴体、頭を見境なく。

ルカは、このような剣技を好きにはなれなかった。討つほどに悲鳴が聞こえるのが嫌だったからだ。



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