再会
山手の町への道のりは、勾配があって馬の歩みを緩めなければならなかった。
ルカは夜目が利くのだが、馬は違い、訓練もされていないので、時々、歩みを止めてしまい、遅々として進まない。
どのくらい登っただろうか。わずかな明かりが見えた。
慎重に近づくと、町の入り口が見え始めた。
ルカは森に入ると、わずかに開けた場所を見つけた。馬を休ませると。町の入り口があるところまで進んで、外套に包まって監視を始めた。
空が白み始める。冷え込むが外套のおかげで、体は冷えていない。この前買った、残り物のパンと木の実を食べながら、監視を続けた。
朝日が昇るまで待ったが、商隊が入っただけだった。
いつまでもここに居てもしょうがない。
町でアリアを見つけようと、馬を連れ出すと山道へ出て町に入った。
町に入ると、斧を持った男たちが森に入っていくのを見た。森の仕事で生計を立てているものが多いようだった。町並みはきれいで、整然としていた。商店も多い。とりあえず、宿を探そう。
町には一軒しか宿屋はなく、すぐに見つかった。山に点在する町への中継地になっているらしく。町の規模と比較して、大きくいい作りだった。
商隊規模の人数でも泊まれるように、馬車がおける大きい厩舎もあった。商品を守るため、傭兵が交代で番をしているようだった。
面倒だな。宿をから距離をとって歩きながら、アリアの乗っていた馬がいないか。アリアの姿はないか窺った。
思い切って、宿に乗り込むか。会えば、その場で斬りあいになる。
いきなり会敵して屋内で斬りあう。そんなことは絶対避けなければならい。
連絡役はどこにいる。おびき出すとか、外出の時間を調べていないのか。
そう、いら立っていると、小石が頭に当たったのを感じた。驚いて振り返ると、アリア居た。思わず何もできずに、目を見開いているルカをみて、彼女は声を抑えながら笑った。
その顔を見るのは二回目だと、肩を震わせてさらに笑った。
ルカは何が起こっているのか分からなかった。追われて潜んでいるはずの人間が、わざわざ目の前に姿を現している。しかも私を見て、楽しそうにて笑っている。
アリアは「遅かったね。すぐそこに川がある。釣りに行こう。」そういうと、アリアに連れられて宿に入った。
ルカが来るのを待っていたのか、二人部屋を取ってあった。
「馬を預けてきなさい。世話人と傭兵にはチップを渡しておいて。傭兵は丸坊主のやつに渡すんだ。」
そういうと二階へ上がって行った。
ルカは大人しく従った。
馬を預けると、アリアが待っていた。釣り具は川辺の漁師小屋で借りられる。そうアリアが言うと荷物と外套をはぎ取られ、手を引かれて部屋から連れ出された。
アリアは急に立ち止まると、チップの金額を聞いてきた。金額を答えると、「それって、この辺の相場の二倍だよ。チップは多すぎると金持ちと思われて、襲われちゃうんだよ。」と言って、また歩き始めた。