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剣士の国  作者: quo
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追撃

ルカは夜通し馬を走られた。

何も考えたくなかった。いつも通りに命令に従おう。

そう思うのに、胸が締め付けられる。


ルカはアリアが好きだった。自分には持っていない物を持っていた。

笑う事、文句を言う事。自分で行動すること。全てがうらやましかった。

そして、私を甘えさせてくれる。

食事時には屋台で、串焼きや珍しい食べ物を二人分買ってきてくれる。髪の手入れをしてくれる。飴もくれる。


寿命の来ていたブーツを見ると、雑貨屋でいいものを選んでくれだ。店の主人と話して何回も試着して、手直しもさせた。

「支給品は質がいい。でも、自分で高いお金をかけても、あったものを身に着けるのがいいんだよ。」


考えないようにすればするほど、アリアの事が思い浮かぶ。


夜明けとともに、宿場町で馬を休ませた。昼までは休ませよう。ルカなら三日程度は仮眠だけで、十分な体力を維持できる。だが、馬は違う。


馬を休ませているうちに、買い忘れた携行食を買った。何か食事を摂ろうと探すと、多くの屋台が出ていた。見て回るが、何を食べたいの分からない。いつものように、パンと果物と少しの木の実を買った。


馬の休息が終わると、また東へ駆け出した。


連絡役との接触はなかった。当面は東に駆けるしかない。アリアが出て一日。同じペースで移動しているなら追いつくことはない。一瞬、ペースを落とせば、追いつけずに斬らずに済むかも。

ルカはその考えを頭から追い払った。手綱を握る手に力を入れる。命令だ。アリアを斬る。


日がとっぷりと落ちたころ、次の宿場町へ着いてた。馬の疲労が激しい。長めに休ませる必要がある。

厩舎に馬を入れると、世話人にが現れて「ずいぶん走らせたね」と言った。そして、明日は、あそこの馬を使うといいと、奥の馬を指して言った。

金はもらっているというと、世話人は馬を厩舎に入れて水を与え、馬を優しく撫でた。


ルカは安宿を取って部屋に入ると、食事をしていないことを思い出した。果物で水分を取りながら、パンを半分、流し込むように食べた。果物は固く熟していなかった。木の実は保存用とし手を付けなかった。

食べ終わると、硬くなった筋肉をほぐすように手足曲げ伸ばしをした。


夜明け前に出発した。連絡役からの接触はなかった。


アリアが言っていた東の都市まで、残す宿場は三つ。次の宿場町から都市の兵士が駐留している。

連絡役たちが追っているのは知っているはず。間者が潜り込んでいる可能性は高い。あらゆる国に剣士を派遣することから、兵士が間者であることが多い。そんなところにアリアは立ち寄るだろうか。


日が傾き始めたころ、一人の旅人が馬を走らせていた。旅人は連絡役がやる、いつもの合図を送ってきた。

都市に近い。人の往来が増えてきて、人目がある。ルカは速度を落として、旅人と並走した。


「次の宿場を過ぎると。山手入る道がある。上ると町がある。そこにアリアがいる。」


そういうと、旅人は速度を落として、ルカから遠ざかった。

ルカは手に汗をかいているのを感じた。


そもまま、半時馬を走らせると、次の宿場町へついた。そのまま進むと街道の分岐碑が見えてきた。日が落ち始め、山手に向かう者はいなかった。



どうするか。もう夜だ。アリアが町から抜け出すなら、当然、夜を選ぶだろう。


そう考えたルカは、宿場町には泊まらず、山手の町の近くまで行き、野営して監視することにした。

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