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剣士の国  作者: quo
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入城

騎士達がアリア達と合流した。


ミレイラは毅然とした態度をとろうとしているが、顔に汗を浮かべておる。

一目で傷を負っているのが分かる。


ナタリアが不機嫌な顔でいるいる。

アリアが、

「不機嫌そうだな」

と言うと、ナタリアはルカを一瞥すると、

「色々と思う事がありまして」

「それより、負傷者の人数はどうなっていますか」

「突入するときには医官を連れて行かないでくださいね」

と言って、またルカを見た。


ルカはナタリアを見よともしない。ミレイラにもそうだ。


アリアは負傷者は増えると言うと、ペレスに二人ほどワイズの部隊に入れろと言った。

あくまでも彼らの城だ。建前でしかないが制圧して旗を立てるのは騎士の手によってでしかない。


ペレスは礼を言うと、騎士を二人呼んでワイズの部隊に入るように命じた。


「これから弓兵を討つ。ワイズは状況を判断して城に入りイーゼルと合流してほしい」

「私とルカは弓兵の囮になる」

アリアはリリスに向かって言った。

「よろしく頼むわ」


リリスは分かったと言うと、

「月が出ている。あんたらの眩しいのは要らない」

そう言って馬から降りると、矢の準備を始めた。


ワイズがここから射るのかと言うと、勿論と言って立ち上がった。

「風もない。十分さ」

「では、囮さん。仕事の時間だ」


ルカとアリアは城へ駆け出した。ワイズ達は距離をおいて前進を始めた。


屋上の見張りがワイズ達の動きに気付いた。

すでに体制を立てなおした弓兵が矢をつがえる。


指揮官は伝令から、城に入った敵兵に損害を与えてはいるが押されていると聞いている。


ここに増援を許せば、一気に制圧される。


撃退したとしても増援が来る当てもないが、せめて生き残り上官を殴り飛ばしたい。

指揮官は何としても近づけるなと号令を発した。




彼女の周りには誰もいない。

アリアが護衛に一人つけると言ったが断わった。


呼吸を整える。リリスは弓兵が動き回っているのを見ていた。

彼女の目はいい。月明りさえあればこの程度の距離は手で届くくらいの範囲だ。


見えている。いや、感じているんだ。

新月夜のにここより遠いところから見張りを射抜いたことがある。

あの時は人を呼吸を、心臓の鼓動を感じていた。


ルカ達に弓兵が気付いて身を乗り出す。


瞬間、リリスが一人に向かって矢を放つ。

矢は緩い弧を描きながら弓兵に吸い込まれていった。

弓兵は崩れ落ちた。他の弓兵達はルカとアリアを追うのに必死だ。


良い矢だ。癖が無く調整なしに飛んでくれる。


リリスは今度は矢を三本、指に挟みこんで矢を構える。

そして、一本目かをつがえると次々に矢を放った。

二人は倒れ、一人は肩にあたったのかのけぞり身を隠した。



ワイズは後方から放たれる矢が弓兵を正確に射抜くのを見て感心した。

国でもそう居まい。

そしては、アリア達に気を取られ、すでに四名が倒れている。

もっと待っていたいがイーゼルと合流しなければならない。

「走れ!」

ワイズの部隊は城にめがけて走り出した。



あの爺さん。せっかちだな。


リリスは五人目を射抜いて思った。

すでにおかしいと思い出したのか、弓兵が警戒し始めている。

しかし、今度は接近したルカとアリアが矢を放ち、牽制を始めた。

ワイズの部隊の射手もいい腕前だ。弓兵は仕事が出来なくなっているだろう。


リリスも城に向かうべく馬に乗ろうとすると、後方からゆっくりと馬に乗った女性が近づいてくる。


アウロラか。


「時間の問題ですね」

「ディーストの根城より、早期にここを落としにかかったのは正解です」

「屋敷の男はルカが斬ったのですね。あれで終いです」


リリスはディートスの根城の話は知らないが、ルカが斬って来た剣士がもう現れないことに安堵した。

あの剣士の存在で行動を制限せざるを得なかった。


「それは有り難いね。古着屋は順調かい」


アウロラはリリスの言葉を返さずに話始めた。

「エンデオは中隊を動かし始めました。ガレスが指揮をしています」

「国の大隊が動き始めます。追加の編成にも着手しました」

「このことはエンデオ領にも伝わりました。二の足を踏んでいた方々も大隊を動かす決意をしたそうです」


全面戦争だ。しかし、両方が互いに動くことを知っている。なぜだ。


「私が両方に情報を流しました。筋書き通りですよ」

リリスは剣を抜いてアウロラの首に突き付けた。


「無駄ですよ。私がいなくても誰かがやっていました」

「筋書き通りなんです」

「でも書く人が変わりました。ディートスはお払い箱です」


何を言っているんだ。

リリスはアウロラに言った。

「黒幕とやらの楽園は消えて、次には何が起こる」


アウロラは言った。

「私のお願いを聞いてくれませんか」

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