ペンギン行進(マーチ) 【月夜譚No.200】
ペンギンの跡をついて歩く。ヨタヨタと左右に揺れるペンギンに合わせて、まだ歩き始めて間もない子どもが同じような足取りで追いかける。
危険がないように父親もそばで見守っているが、子どもが転びそうになる度にオロオロとするので、どこか頼りない。
水族館の体験コーナー。そこで開催されている、ペンギンとのふれあい体験だ。
水槽越しに水の中を飛び回るペンギンは何度も見たことがあるが、こうして何の隔たりもなく間近にするのは初めてだ。子どもは勿論、父親も初めての出来事に胸が躍っているらしい。
とはいえ、今回は自分が楽しむより子どもの安全が優先である。まだ覚束ない足はことある毎にふらつき、その度に手を伸ばすも割と自力で転倒までは至らない。
ペンギンはそんなことなど露知らず、我が行く道を突き進む。
ペンギンと子どもと父親。おかしな行進は、暫く続く。