博霊家の蔵
霊魔の作った料理を平らげ、お茶を飲んでゆっくりしている三人。さて、今日も活動が始まる。
霊魔side
「さてと、料理はどうだったかな二人とも、」
霊魔の問いに二人は同時に答えた。
「「とっても美味しかった!!」」
「あ、ありがとう。そういってもらえると嬉しいよ。」
霊魔は苦笑しつつ言葉を返す。
「ええ、私よりも上手なんじゃないかしら?今度教えてくれないかしら?」
「もちろん良いよ、メリー。しっかしそんなに褒められるとなんだかむずがゆいな。」
頭を掻きながらそうぼやく霊魔。ストレートな好意には弱いようだ。
「じゃあ、そろそろ本題に入りましょうか。霊魔、話してくれる?」
「ああ、分かった。そんで、なんで巫女服着てるのかってのと、鳥居の境界ーいや結界だな、についてだったよな?」
「ええ、そうよ。順番に話してね。」
私の確認にそう頷いた二人。この話は中々複雑かつ素人には難解なため、どう説明するか思案顔の霊魔。少しして筋が立ったのか顔を上げて話し始める。
その後の霊魔の話はこうだった。巫女服は代々博霊家は巫女が大きな力を持っていたために当主的な立ち位置におり、現在は霊魔以外の博霊家の人間が居ないため、巫女の仕事をするための道具の一つとして着ているとのこと。
結界については「分からない」だった。しかし、代々当主が変わるごとにその事情を聞くことになっているのだがそれを成せずに先代が亡くなってしまった、いや厳密には「行方不明」と言うべきだと霊魔は言う。
そう、霊魔の両親は居ない。父親は物心つくまえに亡くなっており、また母親も博霊の巫女として妖怪との戦いの末に戦死したと考えられている。
そこまで話終えるとメリーや蓮子はばつが悪そうな顔を浮かべる。ただこの博霊神社の秘密を知りたかっただけなのだが思いの外重い話だったからであろう。
「少しはなしすぎたね。あんまりしんみりさせるつもりはなかったんだけど...」
何でもなさそうに話した当人は言う。彼の性格からしてもそれは彼女らを気遣うものであることは明白だった。そこに彼を心配する言葉を掛けるのは違うだろうと二人は感じたのか少し言葉が詰まる。
「...っまあ、この境界については理解できたと言うか、成果無しだったけど...話してくれてありがとう、霊魔。」
「そうね、ありがとう霊魔。」
彼女らはこの話題に深く触れるつもりはなく、次に行こうとしている。本当にいい友達だよ。
そう、霊魔は深く感じた。
「じゃあ、早速本題の博霊家の蔵の整理、してもらおうか。さあ、いくよ二人とも。着いてきて。少し離れたところにあるから。」
「了解よ。ほら連子、行くわよ。貴女が言い出しっぺなんだから。」
「分かってるわよ~けどまじで待って、正座してたら痺れて...」
いつもの雰囲気に戻った秘封倶楽部の面々は博霊神社の蔵に向けて歩き出す。その先頭にいる霊魔の顔はいつもとは違う悲しそうな面持ちだったことに気付かぬまま。
~~少々歩いて~~
蓮子は久しぶりの正座で痺れたのか歩き方が怪しかったが無事にたどり着いた。といっても危険があるわけではないが。肝心の蔵は長年放置されてきたのも相まって、つたが絡んでみすぼらしく感じられるというかみすぼらしい。まあ、博霊家はそれだけの歴史があると言えるだろうと、霊魔は一人納得した。
「さあ、着いたよ二人とも。ここが博霊家の蔵だ。まさかここまで来てやっぱり掃除は~~とかは無しだよ?」
すると二人は何故か少し遠い目をしていた。ほんと、なんでだろうなー。いやー全く分かんないなー。
「...まあ、霊魔がせっかく連れてきてくれたんだから掃除くらいしないとね。ほら、切り替えてメリー、博霊家の秘伝書とかあるかもしれないじゃん。」
「そうね、じゃあやりましょうか。何かしら面白いものが見つかるといいけど。」
「悪いけど秘伝書なんかの重要なものはこんなとこに置いとかないからね。」
早速二人のモチベーションが下がった気がするがスルーしていこう。絶望はしていないのだから。
「それじゃあ開けるけど、気を確かにね?」
「ちょっとどういう意味それ、怖いんだけど...わあああ、これはヒドイ...」
「そうね、想定よりもヒドイわ...霊魔のご先祖様には悪いけど霊魔と似てないわね。霊魔はきれい好きなのに。」
これには乾いた笑いしか出てこないが気を取り直して指示を飛ばす。
「ほら、マスクはつけて中の荷物を一旦外に出して整理して中の掃除をするよ。何年どころじゃない年月掃除してないから気をつけて。」
「了解よ。手前の物から出していくわね。」
「蓮子待って、私も手伝うから。」
因みに蔵の中は埃だらけの薄暗いとこ。普通に行きたくない。こうしていくうちに放置されてきた。最初に掃除を放棄した巫女か神主恨むぞ。
ーー三時間経過ーー
蓮子side
出てくる物は普通に古い書物やら壊れたおそらく神事かなんかで使う物だったりとこれといって秘封倶楽部らしい物はない。まだ奥のほうにも荷物があるからそれに賭けるか。
いや、この古い書物も中になにかメリーの言っていた境界についての記述があるかもしれない。そうなったら霊魔に翻訳して貰うかしかないわね。霊魔の専攻は考古学だし。
そんな風に考えていた蓮子から少し離れた森の中、一人の蔵を見つめる女性がいたことには当然、気付かないのであった...




