56歩 「尾張統一(8)」
定期木曜日投稿します。
今回は織田信光さんという、織田信長の叔父さんを訪ねています。
ドマイナーイベント開催中です。
さて、肝心の織田孫三郎信光さんだ。
どうして肝心なのか……と言いますと、今の尾張国内でわたしたち弾正忠家に劣らない軍事力を有しているのと、一族郎党の中で唯一乙音ちゃんに協力的な姿勢を示してくれているから。なのです!
さらにさらに、付け足しで言うと……これは余計な情報なのだが、彼に面会した瞬間、わたしは思わず「わは」と声をあげてしまった。
いや……だって。
ものすんご~いフトッチョさんだったものだから。
現代だったら相撲部屋への入門を勧めるところだ。
あ、でも年齢からすると親方さんか?
アレ? 実績ないと親方にはなれないんだっけ? ……ま、どーでもいい話。
それと大量の汗。水でも浴びせられたの?
近習に大きな手ぬぐいを持たせている。初対面のインパクトすごいよ。
同行した丹羽五郎左さんはじめ、前将さんも小六も、その巨漢ぶりに圧倒されていると思えるほど。これじゃまるで大人と子供。
……わたし? わたしは……親指姫? ……なんでじゃ!
「五郎左、そなたの申し出は先だって聞き及んでいるボ」
――ボ??
「は。かたじけのう存じます」
「ククク。そうかしこまらんでもいいボ」
やっぱり!
まちがいなく「ボ」って言った、「ボ」って言ったよ!
じっくりと観察。
――どうやら語尾の【ボ】は、息切れのせいで無意識に口からもれ出ているせいらしい。
ガチだ、この人。
ボブ、カモン。カモン、イエー。
いけない。いけない! 見た目で人の悪口を言っちゃ、ゼッタイダメ!!
でもつい心が緩む。
「わ、ワハ……」
この時代の人たちは、みんなヤセてるってのに。
――あ。瞳がつぶら。
……アレ? なんかに似てる。
そうだ……アレは、赤いシャツ着た黄色いクマの。
あー。プウちゃんか……! そう思ったら無性にカワイイ!
「ダメだ!」
脈絡のない愉しさが一気にこみ上げたわたし、ごまかすのに必死。肩ふるえるー。
「こちらに控えおります木下藤吉郎と申す者が、我が主家筋であります坂井大膳どのより、こたび織田弾正忠家への助勢を請う旨の書状を預かって参っております」
堅苦しいセリフを丹羽さんに任せ、わたしの方はすばやく懐から密書を取り出し、プウちゃん、じゃなかった織田信光さんに捧げ渡す。それを受取ろうとした彼の手が、唐突に止まった。
どうしたんだろう?? 何が起こった?
「……念のために訊くが、……そなた、女か? そうだな?」
「……はあ? 女……です、が?」
何のことやらよく理解できない。丹羽五郎左さんにすがってみる。
きっと今のわたし、全力で眼が泳いでるから助けて。
ところが五郎左さん……も「しまった」ってカオをしてる。
「――オマエ、おんなッ、おんなだなッ?!」
「は、はい。……あのォ、女、です……が、それが何か?」
「ウガーーーッ」
何度も言うがプウちゃんは巨体。
なのに、ありえないほどの俊敏さでわたしから書状をはぎ取ると、積もったホコリでも払い去るかのように「フーッ、フーッ」と強烈な息を吹き付けた。
「オエー。女に触られた手紙、ベットリ手あかがついちゃってるボーッ」
「……は? え?」
――カッチーン。
陽葉と前将「我慢ムリ……」
大河ドラマ「麒麟」は評判良いようで見たら良かったと後悔してます。
にしても「今日は人すいてるなぁ」と思ったら祝日でした。くっそー。こっちは仕事だー。
こんな時間に投稿してもダレも読んでないぞ? くっそー。




