54歩 「尾張統一(6)」
「天文21年3月、織田信秀の死。
その後、信秀が死ぬ前から離反してたって噂のあった鳴海の山口左馬介親子が今川の味方に付いたと判明。
永禄8年6月、京にて将軍、足利義輝公、暗殺さる。犯人は松永と三好。永禄10年、奈良の大仏殿が焼ける。
松永弾正が犯人と疑われる」
すっごく具体的に、淡々と書き並べてるなあ。
だから余計に印象強いだろうか。
それに永禄ってのは現時点じゃまだ未来の年号だ。予知書ってのはそういうイミか。
坂井さんが食い気味に叫んだ。
「過去からこの先の出来事まで! 見てきたような書きっぷりじゃろう。……そして、ここ! ここになんと、ワシの名前が載っておる! 織田大和守家の末路も……!」
「……天文23年6月、萱津原にて織田家中、清須大和守家と那古野弾正忠家が衝突。
織田三位、坂井勘介らが討死し清須勢衰退。
……弘治元年2月、大和守彦五郎信友が斯波武衛義統を生害。
下剋上を図るが大義名分を得た織田弾正忠上総介信長により責められる。
……同月、織田信光の策略に嵌り、信友切腹。
坂井大膳は駿河の地に遁走。
その後、行方知れず。
……同年10月、織田孫三郎信光不慮の死。
清須城は織田美濃のものになる……」
瞑目した坂井さんは、脂汗をしたたらせている。
「昨年、萱津の戦で織田美濃殿……そのほうらの軍勢と争って敗れたのは事実。そして……大和守様が武衛様を弑逆されるのは、まさに、当年当月……!」
うん、ホントだ……。たしかに事件は今月起こると予言してる。
「娘御。……いや、木下どの。教えてくれ。ワシは、いったいどうすれば良い?」
陽葉 (ブクマ10件目御礼)
陽葉「次の更新はまだか!」




