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【完結御礼】戦国武将ゲーム! 豊穣楽土 ~木下藤吉郎でプレイするからには、難波の夢を抱いて六十余州に惣無事令を発してやります~  作者: 香坂くら
新人編

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35歩 「草履取り」


「又左。ちょっと質問していいかな」

「なんだ、手短に頼む」

「じゃ、手短に。さっきの武衛さまとやら、アレ、生活指導のキムラ先生だよね?」


 又左の仰天顔も珍しい。写真に残しときたかった。


「……オマエ。生粋の……。いや、スマン」


 あー、コイツ。()()()()鹿()って言いかけたな! ……って【生粋】って何だっけ?

 んもーだってさー、本人そのものじゃん! ……って、あ!


「違うや、やっぱ。キムラはもっと性格が悪いし、薄毛だし、ほっぺに黒子があった。にゃはは、別人だ。ごめんごめん」


 横で黙って会話を聞いていた将右衛門さんが腕組みをして言った。


「もしかすると藤吉郎が言うキムラ何某と言うのは、武衛さまの子孫かも知れぬぞ」


 それ!

 わたしも同じコト考えてた。


「ウンウン、きっとそーだよ。次にキムラに会った時にもっとよく観察してみよ。武衛さまって話し掛けてみよ。どんな反応するかな」

「物好きなヤツだ」


 またもや又左が希少な変顔になった。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「誰ぞいる!」

「はっ、藤吉郎がここに」


 ――織田信長さん、もとい、殿だ。


「サルかッ。草履をもて」


 早朝、那古野の城中に静寂のカーテンを引き千切りそうな高音ボイスが響いた。


 翌日に現代へ帰還する期限をむかえるわたしは、その前夜に信長さんの屋敷にご厄介になり、乙音ちゃんと遅くまで女子トークに花を咲かせていた。なので、寝不足の体に心臓が裂けそうなほどのダメージを感じていた。


 けれどもわたしのモットーは【木下藤吉郎ししょー】に倣い、「誰よりも早く、嫌がらず、まずやってみて、出来るまであきらめず」なのだ。


 ということに、今とりあえず決めた。


 音速で玄関に駆けつけ、信長の殿の面前に片膝をついた。


「なんなんですかぁ、こんな朝っぱらから……それに人のコト、サルって……。これでも女子なんですよ」


 女子の部分をことさら強調してみた。


「早朝にこう呼びつけると、そなたが喜ぶと美濃(みのう)から教わったのでな」


 ――ダレが喜ぶかいっ!


「はい、どーぞ。草履です」

「うむ。しかしサルがイヤとはの。……では、ハゲネズミか?」

「あんた、あほですかぁぁっ!」


 どこに、ハゲとかネズミちゃんとか言われて嬉しがる女子がいるのっての!! ――ってしまった、仮にも上司に、しかも超有名な歴史上の人物に怒鳴ってしまった。アンタ呼ばわりしてしまった。

 でもさ、いや確かに、秀吉は信長から【ハゲネズミ】って呼ばれたりしたそうだけどもさ、……ヒドくない? 世が世なら訴えられるレベルかもよ?


「折り入って頼みがある。教科書というものが読みたい」

「は、教科書……ですか?」


 信長さんは変わってる。この時代のどころか、現代の感覚からしても変わってると思う。いつも予想外の言動で周囲を振り回すんだ。


「うむ、教科書だ。特に社会とか理科とかそんな名前の物がよい。可能か?」

「殿。どうしてそんなに……わたしの国の物にお詳しいんですか?」


「吉乃と美濃に教えてもらったのだ。愛知県国では学生という身分の者は、そのような書物を捨てたくなるくらい、たくさん持っているとな。捨てるくらいなら頂戴しても良かろう?」


 以前、乙音ちゃんに「くれ」と頼んだところ、


「学生辞めたから無いです」


 ――と、バッサリ断られたそうだ。……乙音ちゃんさぁ、アンタたしか中学生だよね? 義務教育まっただなかの中坊だよね?


 ――もぉ仕方ない。


 でも、幾らなんでも教科書取られたらきっと流石に恋のヤツ、怒るだろうな。わたしが中学ン時に使ってたのでも持ってくるか。


「お任せください。必ずお持ちします」

「うむ。よろしく頼む」


「……てか、その用事、早朝に伝えなきゃならなかったんですか?」


 すると殿、ヘナっとごまかし笑いして、


「もうひとつ、別に頼みたいことがあったのだ。これは誰にも内密でな」


 と今度はひそひそ声で擦り寄って来た。



挿絵(By みてみん)

ブクマ7件目アリガトー!「元気でたよー」


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