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【完結御礼】戦国武将ゲーム! 豊穣楽土 ~木下藤吉郎でプレイするからには、難波の夢を抱いて六十余州に惣無事令を発してやります~  作者: 香坂くら
第3部 天下争奪編 京坂動乱 ~東軍盟主を引き受けるからには天下分け目の天王山で勝ってみせます~

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046 身ぐるみ剥がし


 香宗我部イチゾウが言葉にならない言葉を発した。

 別の言い方をすれば、それは狂乱状態に陥った者の喚きだった。


「黙れ大久保オオオォォ!」


 喉をつぶしそうなほどの怒鳴り。


 陽葉が暴れるイチゾウを羽交い絞めしようとする。

 だが女の力では男を抑えられない。振りほどかれた勢いで転倒した。


「イチゾウ! 香宗我部イチゾウッ!」


 それでも止める。

 必死に。死にもの狂いで止める。


 彼女の叫びが届き、彼はハッとした。

 床に手をつく陽葉の、何かに耐える眼差しに我を取り戻した。


「済まねぇ。お、オレ……!」

「イチゾウ、大丈夫だよ! 又左は大丈夫!」


 その慰めの言葉は実は陽葉自身に言い聞かせているのだと、瞬時に彼は理解し恥じ入った。

 守りたい相手に守られてどうするんだ! と。


 大男、藤兵衛はズンズンとイチゾウに迫り、彼の銃を平手ではたこうとした。とっさにそれを避けると「オヤ?」というカオをする。

 生憎戦意喪失はしていない。


「そう簡単に盗られるか。よしわかった。勝負だ」


「では木下藤吉郎陽葉さん。藤兵衛は隣の部屋に控えさせますので、どうぞこの部屋を自由にお使いください。香宗我部イチゾウさんも、どうぞご自由に」


 後は好きなように勝負に挑んでくれという事らしかった。

 ふたりは完全にナメてかかられている。


「待って、大久保さん」


「はい?」

「まだ、あなたが勝ったときの条件を聞いてませんが?」


「はぁ。……そうですねぇ。えーでは、アンカーカードとやらを貰う事にでもしもんそか」


 語尾を薩摩弁で茶化した大久保に、陽葉は冷めた目を返し、


「アンカーカード? そんなのだったら別に勝負しなくても、欲しけりゃいつでもあげますよ。但し、それじゃこっちの条件も変えさせて頂きます。もし1日経って又左が生き返らなかったら、あなたを殺す許可をください」


 陽葉は侮蔑を込めて吐き捨て、アンカーカードを彼の前に投げ捨てた。


「たとえゲームだろうと何だろうと、命を粗末に扱う人とは、まともな交渉はしたくないです」


 一方的に告げて、陽葉は又左の横から動かなくなった。

 大久保はヤレヤレと言ったカオで首を振り、カードを取り上げた。


「大久保さん。そのカードを手にした以上は、全プレイヤーたちの命を預かったという事ですからね?」

「なるほど……。木下藤吉郎陽葉。その言葉、西郷さんに伝えておくとしよう」


「勝負はどーすんだ、大久保さん」

「お好きにどうぞ」


 うなづいたイチゾウは部屋を出、縁側を突っ切り、庭の石積みに腰掛けた。

 目線は藤兵衛から離さないでいる。


「……やれやれ。では。また後ほどこけ来っね」


 大久保の退室と同時に女中数人が入室した。

 陽葉をぐるりと取り囲む。


「へ? 何ですか、あなたたち?」

「木下藤吉郎陽葉さん。手持ちの一切を預からせて頂きます」

「ん? 手持ち?」


「ごめんなさいねぇ。これは決まりなんです」

「き、決まりって?!」

「一対一の勝負をなされる場合の島津家の約束事なんよ。第3者に無粋な横槍を入れさせないための。許してぇね」


 女中頭と思しき20代くらいの美人が、そう言って妖し気に目を光らせた。


「な、何すんのって……!」

「身ぐるみ剥ぐだけ。ですから」

「ふへぇ?! そんなあ?!」


 大久保が去った部屋から、陽葉の悲鳴が響いた。痴漢に遭ったかのような。

 と言うか、痴漢だった。同性らによる、疑う余地がないほどの完璧痴漢、いやこりゃ性犯罪だった。


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