037 大坂城返還
ようやく入れました。
メンテ無事終わったようで良かったです。
毛利方の大坂城占拠はわずか3日でお終いになった。
正親町天皇の仲裁に小早川隆景と吉川元春が折れ、叔父らの意に毛利輝元が従ったのである。
無論、天皇の調停工作を画策したのは竹中半兵衛と木下藤吉郎陽葉、そして菊亭晴季だ。
このとき島津義久は遠く薩摩の地にいて対処のしようが無かった。(彼は、大坂城で毛利と再合流する約束を反故にして鹿児島に帰っている。)
勝てば官軍、負ければ賊軍という言葉があるが、西国大名らに対する征伐の綸旨は出なかった。
盟主木下藤吉郎陽葉が東神連合の各将に手打ちしようと説いてまわったためである。
中には穏健派の人の好さを揶揄する者もいたが、毛利との和議を円滑にすすめたいという根本的な思惑は一致していた。
11月7日。
大坂城が東神連合に明け渡され、その場で島津を除いた西国大名と東神連合との間で休戦協定が結ばれた。
毛利には播磨国、長宗我部には淡路が東神連合より割譲され、代わりに将軍足利義昭への恭順の意を伝えるため、京・室町への参向をおこなわせた。
残る問題は九州の動静である。
帰郷した薩摩島津一党は東神連合改め、毛利他が加わった木下連盟からの和平交渉に応じなかったばかりか、大友領への侵攻を強行した。
大友・上杉連合軍と島津軍との一触即発の睨み合いは10日という短期間に3度も発生した。
島津の狙いははっきりしている。
不慣れな土地に遠征している上杉軍の疲弊度合いを推し量り、いずれ余儀なくされる撤退の時機を追撃しようとの魂胆だった。
上杉謙信は当然ながらその企みは看破している。
彼は越後に帰還した上杉景勝に手紙を出している。
プレイヤーカードを使わずにわざわざ文書を送ったところが彼らしいと言える。
そこには、九州の地で島津を討つ目的を果たした後、死ぬ覚悟がある。越後の事は頼む。などと言った勇壮かつ抒情的な文言があふれていた。
上杉景勝は大坂に赴き、木下陽葉に助力を要請した。
「謙信さんは戦う気なんて無いよ。ホントにその気ならとっくに大戦を仕掛けてると思う」
「しかし。……ではどうすれば」
「島津を説得すればいいのよ。わたし、鹿児島に行って来る」
これには前野将右衛門も、さすがの竹中半兵衛も慌てた。
「もう戦の時代は終わったの。日ノ本は統一されて、それで戦国武将ゲームはお終い」
「だがなお嬢。相手は海千山千の、あの島津義久だぞ? 幕末の英雄でもあるそうじゃないか」
「いきなり乗り込んだりしても簡単には事は運ばないでしょう。もう少し何か、手立てを考えないと」
そこへ香宗我部イチゾウと、前田又左衛門がこぞって前に出た。
「オレらが同行し、陽葉を護ります」
「はぁ?」
前野将右衛門は呆れ声でふたりを睨んだが、すぐにプッと吹き出した。
彼らの態度があまりに真剣だったからである。
「いいでしょう。今は島津の思惑は不明です。それを確認するだけでも大きな収穫でしょうし……」
「ううん。わたしは島津義久さんを説得する。話し合いで仲間になってもらうよ」
言いながら陽葉は既に旅支度を始めていた。




