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【完結御礼】戦国武将ゲーム! 豊穣楽土 ~木下藤吉郎でプレイするからには、難波の夢を抱いて六十余州に惣無事令を発してやります~  作者: 香坂くら
第1部 織田家立身出世編 ~コインシャワーつかって就活したら400年前の成長株なブラック企業に就職できたので、木下藤吉郎として私らしく立身出世してやります~
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14歩 「乙音」


 怪訝なわたしの反応を見て取ったのか、維蝶(いちょう)乙音(おとね)ちゃんが説明を加えた。


「ホンマ驚きました。陽葉(ひよ)センパイもこの時代に来てはったなんて。それも木下藤吉郎。コインシャワーを使って過去に行けるってことは、これでよく分かりはったでしょう。けど滞在期限になれば、正常の場合やと元のコインシャワーに戻るんですよ。センパイは戦国(ここ)に来て何時間くらい経ちました?」


「へっ?」


 言ってるイミが理解できない。

 話についていけないわたしに代わって又左が答えた。


「約3時間でございます」


 しかも、現代の時間単位で。


「コインシャワーを思い出してください。【残り秒=滞在時間】と書いたラクガキを覚えてますか?」

「……えと、覚えてる」


「んじゃですね、そのときカウントダウンが始まったって思うんですが、何秒前にシャワーを止めてまいましたか?」


 ――記憶をたどる。


 そう、そういえば……パニックになって、わたしはあのとき……。


「2、3秒くらい前……かな」


 乙音ちゃんはニッコリと微笑んだ。


「じゃあ、そろそろ時間ですね。また会いたいですが、それはわたしのワガママ。戦国(こっち)はめっちゃあぶないですから、もう来んといて欲しいです。お会いできてよかったです」


 彼女が握手の手を出したと同時に、戸板が吹き飛んで数人のオッサンらが踏み込んできた。立派な甲冑をまとった武士団、だけども全員が全員、眼つきが明らかにオカシイ!


「織田美濃(みのう)! 覚悟せよ!」


 床を踏み抜くほどの勢いで男たち……3人、いや4人、じゃないっ、また増えて5人の敵は、乙音ちゃんに迫った。


 織田美濃とは乙音ちゃんの事!


 ――それでも乙音ちゃんは涼しいカオだ。

 それを目の当たりにしたわたしは思わず聞きたくなった。


「お、乙音ちゃん、乙音ちゃんはどうして戦国(ここ)にッ?!」


 ――わたしの横に張り付いていた又左が、ゆっくりした動作で直立した。


 そのまま「フラリ」と男たちに近付き――、次の瞬間、彼ら全員の首がすっとび、天井に「ごごんっ」ってぶち当たった。


 少し遅れて胴体から噴き出した血の塊がいったん天井に吸い付き、「どばどば」と音を立ててわたしたちの頭上に降り注いだ。

 


「……ここ来た理由、ですか? はい、織田家を盛り立て、繁栄させるためです」



 乙音ちゃんの落ち着き払った返答があったが、わたしが放った絶叫で台無しになった。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 昭和63年夏――。


 目の前に暗幕がかかり、クラクラと眩暈が起こった後、我に返ると血の雨ではなく、シャワーの水滴が顔面に直撃していた。それはほんの2、3秒間。


 ――外から激しくドアを叩く音がした。



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― 新着の感想 ―
[良い点] お?良かった、一旦現世(1988)に帰るのですね! これで妹さんとほのぼの日常して、100000文字まで稼いで「何でも無い様な事が〜幸せだったと思〜う〜」みたいなBGMが……おいっっっ!…
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