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【完結御礼】戦国武将ゲーム! 豊穣楽土 ~木下藤吉郎でプレイするからには、難波の夢を抱いて六十余州に惣無事令を発してやります~  作者: 香坂くら
第2部 独立編 上洛ルート争奪戦 ~織田家から独立して戦国大名になったので、信長に先んじて瀬田に瓢箪旗を立ててやります~

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30幕 ルール改変 【第2部・最終回】

第2部最終カーイ!

完全空想歴史ファンタジーラブコメ、とりあえず一旦完結。


 翌朝、一同は軽トラに乗り込み、400年前の主戦場、那古野ノ陣の際の徳川本陣あたりに移動した。

 織田美濃を見送るためではない。


 【戦国武将ゲーム】のゲームマスターより、全プレイヤー宛に案内が届いたからである。



◆◆


 ゲームマスターより全プレイヤーの皆さまにお知らせ


 ――いつも元気いっぱいに戦国武将ゲームを楽しんで頂きまして有難うございます。


 この度、ゲームルールの大幅な変更を行うための前準備として、ゲーム全プレイヤーの皆さまにアンカープレイヤーさまのいる年代へご参集いただき、そこで変更点の主旨説明をすることとなりました。恐れ入りますが、指定日時を迎えたときに強制転移しますのでご了承ください。

 また当件に関し、原則ご質問等は受け付けておりませんが、内容により随時補足を配信しますので各々のカードの表示をよくお確かめ下さい。


 今後とも戦国武将ゲームをご愛顧下さいますよう宜しくお願い致します。――


◆◆



「わたし、織田軍の指揮に戻ります」


 織田美濃を全うすると言う。


「戦国時代に帰りたいってだだをこねてるんじゃありませんよ。徳川と和睦するためです」

「……ヘンだ」


 木下藤吉郎陽葉がつぶやく。


「わたしそんなヘンなコト言いましたか?」

「違うよ。アンカーカードがさ、これまでは自由に過去に跳べたんだ。……だからわたし、躑躅ヶ崎館での戦いのときに戻って、前将さんを助けたんだけど……何故かそれが出来なくなってる」


 竹中半兵衛が陽葉からカードを借り確認するが、確かに彼女の言う通りだった。行きたい年月が制限されている。


「つまり永禄元年(1558年)7月21日、戦艦長門と黒船が沈没する以降にしか行けなくなりました」

「……徳川家康との通信は?」


「さっき話した。それは問題なかった」


 武田弟(シゲル)が聞き陽葉が答える。ふたりともやや早口だった。


「オレはともかくアニキは入院中だ。戦国に戻されたらいったいどうなる?! クソッ!」

「堺の豪商、津田宗及(そうきゅう)どのが紹介してくれた曲直瀬道三(まなせ・どうさん)どのを頼りましょう。この方は坂本龍馬さんのお知り合いでもあるそうですし」


 自らのプレイヤーカードを見詰めていた龍馬が、「ま、そうじゃ。彼りゃもともと緒方洪庵(おがた・こうあん)じゃったからのう。医学知識はある程度あるじゃろの」と返事した。


「ゲームマスターが主旨説明する日時は今のところ不明だけど、参集する日時はわたしに委ねられてるから、とにかく急いで戦国にもどって体勢を整えよう。――乙音ちゃん、それでいい?」


 うなづく維蝶乙音とアイコンタクトし、木下陽葉は一同を見渡した。



◆◆



 戦場で出迎えた徳川家康は要領よく事情を呑み込むと、織田陣営に停戦を呼び掛けた。ほぼ同時に織田軍は徳川軍への攻撃を停止した。


 霧雨降りしきる中、戦艦長門と黒船が大音響と共に沈むのが聞こえた。居合わせた将士には戦争終結を報せる遠雷のように響いた。


 その日の内に双方から総軍代表が選ばれ付近の寺で和睦条件が話し合われ即決される。代表に選ばれたのは織田側に明智十兵衛光秀、徳川側は木下藤吉郎陽葉だった。


 話し合いの最後に握手を求めて来たのは明智の方だった。彼は北条綱成を撃ったことを深く詫びた。


「あの人なら大丈夫。もう退院したって。今はわたしんちでお母さんの世話焼いてる」

「世話を焼いてる? 焼かれてるではなく?」

「お母さん、家事苦手なんだ」

「……ああ。そう、ですか」


 明智と陽葉は示し合わし、夕方、織田美濃と徳川家康の会談を実現させた。


 ――この日、織田・徳川の同盟がようやく結ばれた。

 この同盟をもって成り行きのまま、織田、徳川、北条、上杉、浅井、武田の広域連合が成立したのだった。


◆◆


 ゲームマスターより全プレイヤーの皆さまにお知らせ


 ――いつも元気いっぱいに戦国武将ゲームを楽しんで頂きまして有難うございます。


 ゲーム全プレイヤーの皆さまにゲーム基本ルールの変更をお伝えします。

 今後、コインシャワー等を利用した過去または未来へ時間跳躍行為を一切禁止いたします。なお満18歳到達時点でのゲームオーバールールはそのまま継続しますのでご了承ください。


 今後とも戦国武将ゲームをご愛顧下さいますよう宜しくお願い致します。――


◆◆



 戦国武将ゲームは、アンカーカードを巡って新たな局面に突入した。



 第2部完了






第2部、これにて終幕です。


実は(裏話にもならないですが)昨今の世情に、わたしなりの心痛を覚え、大会戦を予定していたところを大幅に原案改訂し、【仲良しこよし】エンドにしてしまいました。「なんだコレ」とガッカリされた方がいらっしゃれば本当にごめんなさい。ブクマ剥がれ覚悟です。


「良い」と思った方は感想、ブクマ、評価、いいねなどで応援お願いします。

木下藤吉郎陽葉も、他の登場人物も、そしてわたし香坂くらも感謝・感激です。

(出来るだけ「付けたブクマ」は剥がさんでね……)


なお第3部はこれから構想を固めていきます。気長な話、申し訳ないです。

畿内制覇、西国平定などココロザシはまだまだ半ば、第3部もどうかお読み頂けたら幸いです。

それではしばしのお暇を。


最後までお付き合い、誠に有難うございました。

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