表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結御礼】戦国武将ゲーム! 豊穣楽土 ~木下藤吉郎でプレイするからには、難波の夢を抱いて六十余州に惣無事令を発してやります~  作者: 香坂くら
第2部 独立編 上洛ルート争奪戦 ~織田家から独立して戦国大名になったので、信長に先んじて瀬田に瓢箪旗を立ててやります~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

126/187

28幕 織田美濃(1)

【第2部終幕まで今回入れて残り3話】

完全空想歴史ファンタジーラブコメ、今回もはじまりぃ。


 軽トラを停めた駐車場内で一組の男女が揉めている。


 しかし誰も彼らが歴史上の人物だとは思わない。男女の痴情のもつれか、もしくは交通トラブルなのだろうと通りがかる者は、関わり合いになるまいと一様に足早になっている。


「美濃よ。いい加減素直にならんかい!」

「ヘー素直! アニサマの口からそんな単語が飛び出すなんて。わたしは驚きのあまり、開いた口が塞がりませんッ」

「ワシャの、おまんの事は重々大事に思うちょる。じゃがの……!」

「そのしゃべり方、何とかならんですかッ?! わたしの知ってるアニサマは、こう、……もっと上品なカンジの優しい御方でした!」


「坂本龍馬としての記憶が完全に戻ったんじゃから、仕様があるまいじゃろッ」

「フン。もういいです」


 織田美濃はわざわざ駆け付けた龍馬(アニサマ)からそっぽを向いた。

 そばで傍観するしかなかった香宗我部イチゾーに、「早くコインシャワーを起動させてください」と食って掛かる始末。


 そこへようやく陽葉と明智が合流した。

 織田美濃は陽葉の姿を認めると、「また……何なん?!」と唇を尖らせる。


織田美濃(乙音)ちゃん。お帰り。ここはもう昭和だよ」

「分かってます。分かってますから。だからわたし、早くお(いとま)したいんです。なのでほっといてくださいよ」


 明智が頭を下げながら美濃をなだめる。


「美濃さま。私、木下藤吉郎どのに言いくるめられました。完敗です。織田家はそのうちに木下家に呑み込まれるでしょう。もう諦めてください」


 だが。


「あなたねぇ……、あれ程散々わたしをけしかけてといて、あっさり手のひら返してそんな言い方すんの?! ソレ、二心ありすぎやろ! この役立たず!」


 明智は反論せず、彼女の罵倒にジッと耐えている。


「……明智さん。その言い方、ダメだよ。乙音ちゃんもそんなヒドイ言葉、ダメ」

「吼えるな、美濃。お前は負けとりゃせんが。なぜなら那古野界隈での戦は、織田軍優勢のようじゃぞ」

「アニサマ。その発言が二心なんですよ。だってアニサマの心はもうとっくに織田家から離れてるでしょう? なのにどうしてそう、さも関心ありげに装えるんですか? わたしにはアニサマが信じられません」


 明智が小声で陽葉に問うた。


「藤吉郎どの。あなたが私に言った失敗……それは何ですか? 美濃さまに関係しますか?」

「ああ、アレは……九鬼さんと坂本さんを昭和に連れて来たでしょ? そのときにふたりは沢山の本を買い込んだんだ。そこから多くの知識を得た」


 半兵衛が話を引き取る。


「そうです。本は人を成長させます。紆余曲折あれどある程度答えを教えてくれる。お二人も例外じゃなかったんです」


 織田信長――現在の名、坂本龍馬が「そうじゃ」と会話に横入りした。


「江戸湾沖で北条軍相手に勝利を掴めんかった某らは意気消沈し、那古野湾までの航海中に色々な本を漁った。ほれから色々な事を知った。考え方がコロコロ変わるんはしゃーないじゃろ。それは成長というモンじゃ」


 織田美濃はムッとして俯いた。

 今まであれ程「帰る帰る」と言っていたのに、突如踵を返し駐車場から出て行った。


「どこ行くの、乙音ちゃん?!」

「決まってます。病院ですよ。北条綱成さんが手当て受けてるんでしょう?」


 明智が「犯人は私です。同行します」と追い掛けた。


「乙音ちゃん。そんな恰好でウロウロしちゃダメ! こっちの世界の服に着替えなきゃ」

「結構です。それより、どこですか?」

「……何が?」


「病院の名前ですよ。わざとトボケてついて来ないでください」

「案内するよ。先に行ってる介添えの高坂弾正さんとは面識ないでしょ? 敵同士だからって病院内で暴れられたら困るもの」

「しません、……そんなの」


 四の五の言う乙音の背中を押し、「行こ」と促す。


「有難う、乙音ちゃん。ケガした人の事を気遣ってくれて」

「……部下の仕出かしを詫びるだけです。本心は『死ななかったんだから問題ないでしょ』正直そう思ってます」


 何か言いかけた陽葉は思い直したのか、もう一度「行こ」とだけ言い彼女の手を取った。



◆◆



 病院での見舞いの後、「家には帰らない」と言う維蝶乙音を自宅に連れ帰った木下陽葉は、他の行き先の無い連中も招き入れ、食事会を行った。

 ダイニングキッチンと一間続きの六畳間の和室は、急ごしらえの宴会場と化し、足の踏み場も無い有様だった。


「さぁ。夏だけど、鍋パーティ敢行よ! 大いに飲み食いしなさいッ!」


 陽葉の母親、木下加奈子はフランクな人柄だったので、まるで以前から知り合いだったように突然の来訪者たちを受け入れ、こき使い、もてなした。


 陽葉が気にかけていた維蝶乙音の姿は見えなかった。彼女は木下陽葉の実妹、木下(こい)の部屋を訪ねていた。


エライこっちゃ。

地味回続きで読者離れしそうやん?

ってわけでは無いですが、今日中に3話イッキ掲載し、第2部最終幕とする予定です。


最後まで読んで頂き有難うございました。

「良い」と思った方は感想、ブクマ、評価、いいねなどで応援お願いします。

(出来るだけ、つけたブクマは剥がさんでね……)

木下藤吉郎陽葉と香坂くら、感謝・感激いたします。


では、次回。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ