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【完結御礼】戦国武将ゲーム! 豊穣楽土 ~木下藤吉郎でプレイするからには、難波の夢を抱いて六十余州に惣無事令を発してやります~  作者: 香坂くら
第2部 独立編 上洛ルート争奪戦 ~織田家から独立して戦国大名になったので、信長に先んじて瀬田に瓢箪旗を立ててやります~

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7幕 水軍創設要請


 箱根湯本の温泉街は始祖北条早雲以来開発を進め、現在は幻庵が直接支配下に置き、運営を行っていた。


 木下藤吉郎陽葉一行と上杉謙信は彼の計らいでここに来訪し歓待を受けた。


「本来は予約制なんだって」

「恩着せがましいな、あの爺さん」

「地獄耳だ。気をつけろ」


 陽葉、イチゾー、又左は悪態をつきながらも温泉を満喫した。


「ところでなんでお前、男子風呂に入ってんだ?!」

「バカ。わざわざ恥ずかしい指摘しないでよ。仕方ないでしょ、この時代は混浴なの。水着着てんだから許してよ」

「つーか、スクール水着かよ。色気ねーな」

「……ああ。殴ってやりたい」


 バカ話を幻庵はクスリともせず聞いていた。もちろん、不快であろう。その彼に耳打ちしたのは北条氏康だった。


「幻庵どの。ひとつ相談なのだが、木下から水軍の増強を提案されてるんだ。どう思う?」

「……どうぞ、殿の意のままに」

「1ヶ月以内に安宅船(あたけぶね)を10艘、作ってください」


 陽葉が割り込んで来た。

 幻庵が目を剥く。


「ばッ、バカモノ! いったいどうやってそんなものを――!」

「グズグズしていると織田が入京してしまいます。急造艦(はりぼて)で構いませんのでとにかく仕上げてください」

「……。だいたい大船を造る港が無かろう」


 陽葉、竹中半兵衛を手招きした。痩身の引き締まった身体を寄せた彼に、少し赤面した陽葉は場所を譲り、続きを話させた。


「木下配下に蜂須賀党の小六という頭領がおります。この者が異界の土木技術を修業し帰城しました。彼に造船所の土木工事をさせます」

「作事(※建築工事)は?」

「同じく生駒親正という者に建築技術を学ばせたので、縄張り(※設計)に参画させます。……基本プレハブ建築にしますので大きな問題はございません」

「フン。奇天烈な物言いをしおって。で、人足や器材などはどうするのだ?」

「異界より持ち帰ったモノを使います。徳川どのの資力を頼ります」


「あとユンボとかね。出来たらクレーンも何とかしたいんだけど」


 ドヤ顔で陽葉が口出す。


「ウーム。陽葉どの、流石にそれはなかなかに難儀ですな」

「プレハブ住宅と同じよ? 部品持ち込みで現地組み立てしたらいいだけじゃない。武田兄弟にやらせるわよ」


 唸る半兵衛。


「しかしながら。両名には武器の調達に掛からせていますが」


 武田兄弟――兄の武田晴信(※徳栄軒信玄)と弟の左馬助信繁(さまのすけのぶしげ)は、陽葉から受け取った戦国武将ゲームカードで彼らの発祥年代である昭和20年代に戻り、アメリカ進駐軍の目を盗んでロシア、中国、朝鮮などから密売ルートを使って大量の銃器を仕入れ、木下家に流していた。


 ちなみにこの頃の木下家の家計財政事情はトンデモ状態で、資財金庫はほとんどすっからかん、上杉や徳川、旧今川の遺臣団から資金を融通してもらっている。ちかごろ経理を手伝い出した妹の木下(こい)は、常に姉の陽葉に「倹約(節約)しろ」と食って掛かっていた。


「それともうひとつ。今日彼らには新潟に出張してもらっています」

「……ああ。そうだっけかな」


 ――越後国沼垂郡(ぬたりのこおり)、現新潟県新潟市。

 陽葉の命令で上杉家支配の地に赴いた兄弟は、信濃川河口で沈没し引き揚げられていた元軍用輸送船、【宇品(うじな)丸】を盗み出せという任務で動いていた。


「また無茶な指令をしましたね」

「彼らなら出来るよ。暇を与えたら何しだすか分かんないし」


 傍らでイチゾーは身震いした。

 彼女のスク水に見とれていたばかりの自分にヤバさを抱いた。


「コイツ。怒らせるとコワイな」

「何を今更。だったらさっさと手を引け。彼女から」

「う、ウルセーよ。何でだよ!」


 ただの独り言に突っ込みを入れられ、又左に怒鳴り返す。

 咳払いで「黙れ」と諭し、陽葉が続ける。半兵衛も補足する。


「その宇品丸を手に入れて修理し、輸送船に仕立てます。数十人の工作部隊と作戦のための兵糧はそれで運べるはずです」

「越後上杉家においても水軍の強化をお願いしています。例えば敦賀港から京の背後を狙う。そうする事で織田家を揺さぶる計画です」


 少し離れた場所で湯冷まししていた上杉謙信、「そうだな」と頷く。

 北条氏康は壮大な構想に目を輝かせている。幻庵の渋い表情は変わらないが。


「武田晴信はホント、モーレツ社員の鏡だね」

「彼らの事は【ハルやん】と【サマノスケ】で良いよ。武田なんてとっくに滅びたんだから」

「うっひゃあ、辛辣う。北条も滅びないようにしなきゃなぁ」


 氏康の軽薄さが癇に障ったのか、幻庵のカオがますます険しくなった。

 そこへタイミングよく携帯が鳴る。その、サマノスケからだった。


「言われた通り縄締めして船を越後に跳ばした? ウン、ご苦労さま。じゃあねえ、直ぐに小田原に戻って今度は重機の手配をして? そう、ユンボ。あとクレーンもね。仔細は一任するわ」


 電話を切った陽葉、「やれやれ」と首を振る。


「労働なんとか法がどうとか怒鳴られても知らないっての。そんな事言ってるけど彼ら、武田家回してるとき、死んだ目してたもんねえ。今の方がよっほどイキイキしてると思うよ?」


 イチゾーは密かに思った。

 もしそれが本当なら、彼らは相当なマゾヒストだと……。


「ところでさ。何で男どもは全員マッパなの?!」


「それ、今気付いたの、陽葉ちゃん? そりゃ裸の付き合いってもんだよ、ねえ?」

「幻庵どのと謙信どのは湯帷子(ゆかたびら)を着ているぞ? 全員じゃない」


 と氏康と又左。


「コイツら少し感性がズレてるぞ」


 イチゾーの独り言に「さもありなん」と幻庵が呟いた。


 

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