表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結御礼】戦国武将ゲーム! 豊穣楽土 ~木下藤吉郎でプレイするからには、難波の夢を抱いて六十余州に惣無事令を発してやります~  作者: 香坂くら
第1部 織田家立身出世編 ~コインシャワーつかって就活したら400年前の成長株なブラック企業に就職できたので、木下藤吉郎として私らしく立身出世してやります~
10/187

10歩 「又左」


「前田さん」

「犬千代でいい」

「あ、あの、じゃあ、せっかくなんで《又左(またざ)》って呼んでいい?」


 ついノリで口ばしった。


 わたしってば、ナニゆってんだ?! 初対面だぞ? 何が「せっかく」なんだ? 馴れ馴れしい上に恐れ知らずだよ!


「なんでもいい。又左でいい」


 いいんだ?! てか、又左なんだ、アンタ!


「ありがとう。……又左さん」

「又左」

「ま、又左。じゃさ、今日って何年何月何日なのかな?」


 鉄板の質問、シタッター!


天文(てんぶん)21年3月14日」


 即答! でも。


 天文……? ええと?


「西暦1552年だ」

「ど、どうも……って、西暦ってアンタ?!」


 西暦を知ってるって。やっぱ現代人なんじゃん?


乙音(おとね)さまに教わったのだ。今は室町様、つまりは足利将軍家の御世だが、オマエたちの歴史感覚でいえば戦国時代というそうな。なんせ大荒れの世だからな。仕方のない解釈だ」


 又左がめずらしく歯を見せた。


「なに?」

「いや。乙音さまも以前、同じ質問をされたのを思い出したのだ。ここはどこ? あなたはダレ? 今はいつ? と」


 わたし、それを聞いておもわず笑った。


「どうした?」

「いや。べつに。なんか緊張してないなぁ、わたしって。そう思ったんだよ」

「緊張? どうして緊張なんてする必要がある?」

「又左がいい人だから、だよ! わたしの時代じゃ、そんな人がいちばんアブナイの。これ、常識だよ」


 又左、「ふむ」とうなづき首をかしげた。ビミョーに理解不能らしい。


「わたし、【太閤〇志伝】ってゲームが好きなんだ。その登場人物に【槍の又左(またざ)】ってのが出てくんの。木下藤吉郎は、槍の又左とチョー仲良しでさ。……だから、決めた。わたしはキミを信用する! 無条件で信用することにする」


「たいこうりっし……げえむ? 信用? ……あぁ。そりゃ、どーも」


 意外にそっけない。


「わたし、本当の名前は、陽葉(ひよ)。木下陽葉(ひよ)っていうんだ。又左くん、ヨロシクね」


 親愛の情を込めて手をにぎった。

 わたしってテンション高まったら、結構無思慮になるんだよね。

 男の子の手って思った以上に大きい……。

 フッと、そう感じた瞬間に我に返って、手をひっこめた。

 

「なるほどそうか。乙音さまもそうだ。こっちの世界では乙音さまのことは皆、【美濃(みのう)姫さま】とお呼びしている」


「美濃姫さま……フーン」


 大人っぽい口調だけど、やっぱ随分若いよね。もしかすると、わたしとおない歳くらいかな? などと思いめぐらせているうちに、どんどん親近感がわいてきた。

 

「どうした、まだ警戒してるのか?」

「ううん。……美濃姫さま、か。又左、お願い。その姫さまに会わせてくれないかな?」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ