表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結御礼】戦国武将ゲーム! 豊穣楽土 ~木下藤吉郎でプレイするからには、難波の夢を抱いて六十余州に惣無事令を発してやります~  作者: 香坂くら
第1部 織田家立身出世編 ~コインシャワーつかって就活したら400年前の成長株なブラック企業に就職できたので、木下藤吉郎として私らしく立身出世してやります~
1/187

1歩 「供養塔(1)」

はじめまして、香坂くらと申します。

今回より歴史ファンタジー物をはじめます。ぜひともご一読ください。

 昭和63年夏――。



「壊れた? ……なんで?」


 築25年のアパートに暮らしているわたしはその日、部屋付のお風呂が壊れたのを知って愕然とした。

 だってそうでしょ? もう直んないかもしんないんだよ!

 

 大家さんに、


「高級マンションに立て替えるんで、ビンボー人どもはさっさと立ち退いてください」って言われたらどうすんのって!


「……なにブツクサ、独り言トバしてんの? パジャマのままで? ビョーキなの? 救急車呼べば?」


 とは、妹の木下(きのした)(こい)


 色白で丸顔、肩より長いまっすぐな黒髪。

 ()()()()()()()()()()カワイイ顔してるくせに、コトバは不細工でトゲトゲしい。

 

「お母さんは……あ、そか。もう出かけたのか。さっきも聞いたんだっけな」


 妹の冷たい反応をナナメ方向にはね退ける。いつもこんなカンジ。


 宿題の古典文法をしていたつもりが見事に記憶を失くし。目覚めた時分には、すっかり夜。お母さんは宅配便センター、とっくに夜勤のバイトに出かけちゃったみたい。


「銭湯行くよ。お母さんからお金預かってるし」

「ちょ、もう直んないのッ? お風呂、一生直らないの?!」


 腕組みした妹のタメ息。


「……大家さんにはもう伝えてる。明日、業者さん来るってさ。症状話したら給湯器の不完全燃焼じゃないかって。サイアク、交換だね」

「それ変えたら、またお風呂はいれるの? 引っ越ししろって言われない?」


「それは、心配ない。だいじょうぶだから」

 あきれかえった様子、でも口調は優しくなった。


「行くよ、お姉ちゃん」

「ちょ、待って。今日は銭湯じゃなくって、コインシャワーに行ってみよう」


「は?」


「銭湯、定休日だよ。知らなかった?」


 あきらかにうたぐりの眼差し。至極怪訝なり。

 でもわたし、こういうシーンでのハッタリは昔から得意。


「わかった。じゃ、恋は銭湯行きなよ。無駄足だろうけど。わたしはまっすぐコインシャワーに行ってるよ。……あ、いいよ。気にせず待っててあげるから」


 クツを履き、外に出る。あわててついて来る足音。


「分かったよ。信じたよ。行こ、コインシャワー」


 ――よし。成功。


 ホント、妹は良い子だ。

数日間、連投します。

2話を20時、3話を23時に設定しました。4話は翌日です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ