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 第二章 勇者の選択


 大声を張り上げる俺に驚いたのか、エリーザと名乗るお姫様は露骨に動揺した。


「落ち着いて下さい勇者様。まずはわたくしの話を聞いてください」

「聞くも何も、早く俺を元居た世界に戻してくれ!」


 混乱して叫んだ後、俺は周りの声に気がついた。


「無礼な」

「姫様がお声をかけて下さっているのに」

「いや、そもそも陛下の御前で」


 そんなひそひそ声が聞こえて、背筋が凍り一気に冷静になった。

 マズい。

 ここが俺のイメージ通りの世界なら、俺は一国のお姫様に悪態をつく無礼者ということになる。

 そのイメージは主に映画とかアニメだけども。

 まさか、絢羽と見ていた空想上の世界の出来事が役に立つ日が来ようとは思わなかった。

 そのイメージに照らし合わせるとこのまま手討ちなんてことになりかねない。

 いや、手討ちって時代劇の方か? いや、どうでもいい。とにかくこの状況は極めてよろしくない。

 どっと冷や汗をかく。

 勝手に呼ばれてちょっと気にいらないからって殺される。

 堪ったものじゃない。

 だけど、生き残るには下手に出る他ない。

 俺は急いで海外映画を真似て片膝をついた。


「し、失礼しました、王女殿下」


 すると今度はエリーザの方が面喰い、あたふたし始めた。


「ど、どうか立って下さいませ勇者様。混乱するのは当然ですわ」

「・・・は、はい」


 暫し、周りの様子を窺った。

 この姫は善良な様だが、周りの兵士達はどうだ? このまま立ち上がってまた不興を買っては・・・

 俺が困惑していると、奥にいる王様らしき老人が声をかけた。


「勇者殿。姫もこう言っておる。どうか立ちあがってもらいたい」

「はっ」


 よし。王様の言質が取れれば安心だ。

 俺はゆっくりと立ち上がる。


「ありがとうございます。勇者様」

「あの・・・」


 どう接していいか分からず、おずおずと口を開く。


「その勇者って止めてもらえますか。俺、いや、私は白夜と言います」

「ハクヤ様?」

「はい。それと“様”も勘弁してください」

「そうは参りません」


 意外と頑固だなこの人。


「それでは白夜様。何故わたくし達が貴方様を召喚しなければならなかったのか。その理由をお話しします」

「あの、何処かの敵国だとかモンスターとかが攻めて来たからとかじゃないですよね?」


 おおぉぉ!?


 途端に場がどよめきだした。

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