プロローグ
「今日は多分イアンがアメイカに報復するだろ。だってあれからもう2日も経ってるし」
僕はそんなことを道端で呟いた。
「ブーーー」
「ん?」
スマホが振動した。メールかと思い僕はスマホをポッケトから取り出して覗いた。メールではなくワンフーの速報だった。
『現地時間で4時36分にイアンがイナクにある麦軍基地に弾道ミサイルによる攻撃をしました。死者はなしと公表されました。••••』
この内容は株価暴落や各国通貨の値段などに多大なる変化を生じさせる内容だったが僕は
「ほらやっぱり」
薄い表情でそんなことしか思わなかった。
僕にはすでに起きるだろうと知っていたからだ。なぜならこれは僕がアメイカに相手の最高司令官を殺すようにけしかけたからだ。そしたら報復は絶対される。
こんな大それたことをできるのは僕がこの世界の裏側を支配しているからだ。
なぜこんなことをしたかって?
それはイアンが最近人生の絶頂にでもいるのかのように調子に乗りすぎているからだ。僕がバランスを崩すなと色々な手段で口うるさく上司の説教のように言っても全く聞かずに船を拿捕しまくったり、軍事行動をとったりしていたからだ。
なぜアメイカにやらせたかって?
それは国力が百獣の王の如く強いし、少しの損害じゃ全く動じないからだ。
なんならフ○ウェイとア○プルの対立も僕が仕掛けた。フ○ウェイがデカくなりすぎると僕にとって大きな損をさせるからだ。
それで情勢が流動的になったり株の値段が軽く変わったりしてるけど僕が一番得するようになってるから別にどうだっていい。
それよりも今後僕がどう動くかとか未来がどうなるのかとかを考えないと。
眉間にシワを寄せて考えながら小刻みに足を動かしていると、気がつけば踏切の前にいた。
「お、いつも全然開いてないのにラッキー」
少し悩みが晴れた気持ちになった気がする。そのまま僕は軽快な足取りで踏切を渡っていた。そしたら目の前の軽トラが動きを突然見せなくなった。
なんで停車したんだ?
僕はトラックと一緒に足を止めた。何かあったのかもしれない。
「あの—————————」
声をかけようとしたが僕の声はより大きい音にかき消された。そうここは踏切だ。そこで大きい音と言ったらそれは電車の音が最初に挙げられる。ということは電車が近くまで来ているということになる。踏切のバーが上がっているのにだ。これはとてもまずい。前は避けるところがない。僕は出来立ての漫画原稿にインクをぶちまかした漫画家のような絶望感に囚われた。でも後ろは空いているから避けれる。そう理解していても体が恐怖でまるで他人のもののようにいうことを聞かない。
「クソがまだ死にたくねーんだよ!!!!」
唇を咄嗟に噛んで痛みで体を動かせるようにして後ろに飛んだ。
足底が少しカスった。あぶねッ!!!
あと少しで死ぬところだった。
電車が通り過ぎてから軽トラを運転していたおっさんが降りてきた。
「おい大丈夫か?!」
「だ、大丈夫だ」
彼の手を取り立ち上がった。
「ありがとう」
「踏切壊れてて運悪かったな」
「運悪いてなもんじゃねー」
「はっはそうだな」
「点検してなかったのかな?」
「誤作動じゃね?」
そう会話をしてから別れて急いで踏切から出た。
「じゃ気をつけろよ」
「あぁありがとう」
「じゃこれで」
そう離れていたが
「おいッ止まれッ!」
「えっ」
ドンッッッ
視界が暗くなっていく
あっやばい
「おいッおいッ大丈夫かッ!?」
「あ、ぁ—————————」
「おいッぉぃッ——————」
声が遠のいていく
あぁまさか信号機まだ壊れてたとは
今日はなんて運の悪さだ
もう何もどうでも良くなってきた
苦しいしさっさと死なねーかな
『ユニークスキル獲得条件達成
帝王獲得
エクストラスキル獲得条件達成
完全記憶獲得 予測演算獲得 自己思想獲得
並列思考獲得
ノーマルスキル獲得条件達成
言語理解獲得 解析鑑定獲得
解析鑑定と自己思想を統合
予測演算と自己思想を統合
ユニークスキル自己思考獲得」
うるせーな
なんだよ
んなのどうでもいいよ
意識がそこで途切れた