表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/10

誕生日とバースデーケーキ


問題は大きくても小さくても問題である。それを乗り越えられるかはその人次第だ。


その日、四人はあるデパートに出掛けていた。その理由は昨日の朝に遡る。週も終わる金曜日、朝からある話題で四人は盛り上がっていた。

「こないだ楓奏とジェットコースター乗ってきたんだけどこの写真見てくれよ。」

そこには胡桃と楓奏、さらになぜか担任の赤井先生が写っていた。先生と偶然会ったんだよ。凄いだろ、と胡桃は満面の笑みを浮かべた。だが聖と夕美はそれとは別の場所に気を取られていた。

「ねぇ夕美.......」

「えぇ.......」

二人はとても深刻そうにお互いの顔と胡桃の見せた写真を交互に見合わせていた。胡桃は当然なにか変なものでも映り込んでいるのか、と不安そうな顔をしている。二人は同時に大きなため息をついた。

「「ダサい!」です!」

タイミングを揃えて二人は胡桃の写真に写る服を指さして言った。

「なんですかこの服は!ダサい!」

「この猫みたいな変なの何!?」

まるでマシンガンのように浴びせられる暴言の嵐、段々と胡桃は小さくなっていくように見えた。それも実はその写真に写るとてもセンスの感じられない服は胡桃の持っている服の中では一番のお気に入り、つまり胡桃の一張羅だ。それをあれ程の暴言で蜂の巣にされてしまってはそれはそうなるだろう。事実ダサい。楓奏もそう思っていたがあまりにも友が嬉しそうにこの服すんげぇいいだろう、と自慢してくるもんだから何も言えなかったのだ。

「そうだ、明日みんなで胡桃の服買いに行こうよ!私と夕美がすんごいカッコイイ服選んであげるからさ。」

と、言うことだ。外から見ているとなんとも可哀想な事だがその代わり服を選んでくれるというのだ。それにいつになく聖はやる気を出している。

「とりあえず一式、全身コーデで服を選んでしまいましょう。」

夕美もどことなくやる気が出ている。四人は、あぁいや細かくは三人は胡桃の為のカッコイイ服を探す旅に出た。ちなみに前日ズタボロに言われた胡桃の服は白シャツとジーンズだった。


こんな服どうかな、と聖が持ってくる服はどれも良いには良いのだが聖の趣味全開だった。それを楓奏が胡桃に似合うかを判断し、夕美が財布のことを考え、またそこで判断するような三審制が取られていた。そして選ばれた服はもはや完璧というに近かった。元来、胡桃はそこそこ顔が良くこれまで彼女ができなかった理由は私服というただその一点だけであり、厳選されたその服を着た胡桃はとても決まっていた。

「こういうのがカッコイイなのか。」

まるで新しい流行りを知ったおじいさんのような反応をした胡桃は割にその服を気に入っていた。柄シャツとズボンにジャケットを占めて6980円。割と高いなぁ、と胡桃が財布を出すとすっと楓奏がその手を遮る。

「胡桃、財布しまえ。今日お前誕生日だろ?」

「あ…そういえば……」

この日は胡桃の誕生日だった。実は今回、割と前から練られていた誕生日を祝う計画だったのだ。最初は他のものを買う予定だったが前日、あの聖の思いつきでこの計画が実行された。

「「「お誕生日おめでとう!!」」ございます。」

当初の予定とは少し違うが、結果胡桃は心から喜んでいた。それだけで今回の作戦は成功と言っていいだろう。ありがとう、と胡桃はみんなに心からお礼を言った。


「ただいま。」

自分の放つ声、だが返事は無い。ただテレビの音だけが聞こえる。テーブルにはメモが置いてある。どうせいつも通り夕飯は冷蔵庫の中と書いてあるのだろう。メイク道具も片付けず出しっぱなしだ。俺はそれを綺麗に道具箱に入れなおす。

「ケーキはなし、か。まぁ毎年こうだしそんなもんか。」

冷蔵庫から冷えた肉とサラダを取り出しレンジで温める。炊飯器を開けると米は炊かれていない。また炊き忘れか。食わねぇもんな母さん、そう呟いて俺は黙々と肉とサラダを食べ尽くした。それでその後風呂に入って眠りにつく、買って貰った服をタンスに入れて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ