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禁忌のメイガス  作者: Ι
No.2 emotional blue
4/18

arise (second order)

「ノルンの声が聞こえたはず。

 Project Peaceのパイロット。いえ、ノア=フィルツェン。」


「どうして俺の名前を…!?」


「そんなのは後。

 それよりも目の前のあれを止めることに集中して。」


「止めるったって、

 あんなのどうやって…」


Hopeのパイロットは少しため息をつくと、今度はノルンに呼びかけた。

「ノルン。」


『なんでしょう。ニーナ。』


「私の脳をスキャン。 

 作戦内容をProject Peaceのパイロットに自動学習。」


『かしこまりました。

 

 スキャン完了。

 自動学習を開始します。』


うっ!!・・・

ノルンがその言葉を言い終えると同時に、脳に直接膨大な情報が流れ込む。


「行って。

 今度はあなた自身のタブーを使う番。」


俺は気が付けば、その白い機体で迫りくるミサイルに向け全力で突っ込んでいた。


「アークフォトン出力最大で展開。

 展開完了後に機体の半径10メートル以内に収束。

 対象のステータスを補正をかけながら随時更新。

 メインモニターに機体を含む全ステータスを表示。」


体にかかるGが増えていく中、俺はモニターの情報すべてに目を通していく。

焦りがこみ上げる中、不思議と落ち着いていく自分がいた。


『対象接近。

 衝突まで3,2,1…。』

機体を予想以上の衝撃が襲う。

「ぐっ…!!

 ブースター最大出力。

 粒子密度展開。対象を包み込め!!」


『対象、間もなく臨界状態へ突入。

 Project Peaceの全リミッター現時刻をもって解除します。』


始まった…


わかってる…


俺のすべてをお前に託す。


「やるぞ。

 

 Project Peace。」


『メインモジュール接続を終了。

 装甲をすべて展開。

 全アークジェネレーター解放完了。

 これより第六シークエンスを開始します。』


「うっ!!ぐっ・・・・

 ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

吸われていく。

痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い…。


ありとあらゆる苦しみがすべて一辺に襲ってくるみたいな痛み。

これでやめてしまえたらどんなに楽だろうか。


機体も先ほどとは比較にならないほど悲鳴を上げている。


『脚部、腕部共に負荷限界値を突破。

 ライトウイングブースター損傷。

 パージします。

 出力調整。重心固定。レフトウイング出力上昇。

 フォトンリアクター臨界点突破。』


機体を包むように爆発は空で広がっていく。

爆発とアークフォトンの光でメインモニターは真っ白だ。

コクピット内の警報は鳴りやむことを知らない。



「まだだ・・・。


 そんなものかProject Peace!!


もっとくれてやる!!


 だから、




 もっとよこせぇぇぇえええええ!!」


朦朧とする意識の中、俺は確かに叫び続けた。


自分とこの機体の力を求めて。


光は少しずつではあるが爆発全体を確実に侵食し始めていた。

臨界に達したその光球を、徐々に徐々に削っていく。


擦り切れそうな意識は確かにあの場所へと…


「そうだ…!!

 

 食らいつくせ!!!!」


機体を包んでいた光が徐々に消えていく。

いや、密度を増して集まっていく。


やがて、光は機体一つ分大きさまで収束し、機体そのものと一つになっていく。

あとには残骸のように粒子のみが拡散しているのみだ。


光の粒子はやさしく包み込むようにその白い機体をそっと抱きしめていた。

その暖かな光に俺はそっと触れていた。


「暖かい……」


コクピットから光が見えなくなっていくのと同時に俺は意識が消えていくのを感じる。

もう視界はほとんど見えていない。

白くぼやけた世界に深く沈み込んでいく。


「これで…


 

 いいんだ…ろ……






 バレッタ………」


すべて出し尽くし空になった機体が落下していくのを感じる。

光球が姿を消したとき、俺の意識も完全に消えた。

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