表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
禁忌のメイガス  作者: Ι
No.5 front line
15/18

grand finale

れは激痛だった。

私の皮膚には、脇腹には、腕には、確かな痛みが残る。

意識なんて吹っ飛びそうだった。

空中に飛び散る金属の破片たち、爆ぜた硝煙は曇天を明るく照らした。


私の身体は約一秒前、二つに分断された。

いや、本体は分断されてない。だけどこの身体は今、私の体そのものだから。


"痛い"


眼球から流れる血液が、鬱血する皮膚が、枯れた声が、私の意識を…


「…ない。」


おとぎ話のような恋はまだ終わらせるわけにはいかない。

また私は……。


続く二撃目、左からの横一閃。

左腕を失った私、フォトンフィールドも失い、待つのは死。


「終わらせない!!」


まだ右腕がある!

レプリカがなんだ!


『警告。出力の低下を確認。

 戦闘行為の継続は推奨できません。』


拒絶がなんだ!!

そんなもの…!!


ブレードと接触する右手。

全粒子を圧縮させて迎え撃つ。


…破損まで数秒。

ブレードはコクピットをギリギリよけ空を切った。

飛ぶ右腕、激しい痛みが私を襲う。


「いや、終わりよ!!」


アリスはそう叫ぶとすかさず三撃目を放つ。

相手の四肢はもう右足しか残っていない。

彼女にとってそれはチェックメイト以外の何物でもなかった。



いや、何か忘れていないだろうか。

アリスのコクピットにはアラートが鳴り響いていた。


『アークフォトン残量:微小。

 レプリカ:強制解除。』


「そんな…

 いや!まだ……!!」


彼女はまだ攻撃を続けようとする。

レプリカが切れようが、アークフォトンが切れようが、この攻撃さえ当てれば関係がない。

振りかざした剣はさらに加速する。

この一撃が正真正銘最後の一撃だからだ。


「そうね…

 確かに……」


ニーナはそうつぶやくとその人差し指で力強くそして静かにトリガーを引いた。

Projact Hopeに残されたレーザーユニットは12機、そのすべてがまばゆい光を放つ。

振りかざされた剣は届くことはなく、淡い噴煙のもとに消えていく。


「終わりね…。」


落ちていく金属片。視界には散っていった粒子たちが輝しく舞い上がる。



「…あんた…もね……」


そのかすれた声は確かに聞こえた。

だがもう遅い。



その日、上空から四本の光の柱が差し込んだ。

柱たちは島のドームへとぶつかり、巨大な火花を散らす。

たった一本を除いては。



メイガスProject Hope:消滅

ニーナ=クラウス:戦死。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ