grand finale
れは激痛だった。
私の皮膚には、脇腹には、腕には、確かな痛みが残る。
意識なんて吹っ飛びそうだった。
空中に飛び散る金属の破片たち、爆ぜた硝煙は曇天を明るく照らした。
私の身体は約一秒前、二つに分断された。
いや、本体は分断されてない。だけどこの身体は今、私の体そのものだから。
"痛い"
眼球から流れる血液が、鬱血する皮膚が、枯れた声が、私の意識を…
「…ない。」
おとぎ話のような恋はまだ終わらせるわけにはいかない。
また私は……。
続く二撃目、左からの横一閃。
左腕を失った私、フォトンフィールドも失い、待つのは死。
「終わらせない!!」
まだ右腕がある!
レプリカがなんだ!
『警告。出力の低下を確認。
戦闘行為の継続は推奨できません。』
拒絶がなんだ!!
そんなもの…!!
ブレードと接触する右手。
全粒子を圧縮させて迎え撃つ。
…破損まで数秒。
ブレードはコクピットをギリギリよけ空を切った。
飛ぶ右腕、激しい痛みが私を襲う。
「いや、終わりよ!!」
アリスはそう叫ぶとすかさず三撃目を放つ。
相手の四肢はもう右足しか残っていない。
彼女にとってそれはチェックメイト以外の何物でもなかった。
いや、何か忘れていないだろうか。
アリスのコクピットにはアラートが鳴り響いていた。
『アークフォトン残量:微小。
レプリカ:強制解除。』
「そんな…
いや!まだ……!!」
彼女はまだ攻撃を続けようとする。
レプリカが切れようが、アークフォトンが切れようが、この攻撃さえ当てれば関係がない。
振りかざした剣はさらに加速する。
この一撃が正真正銘最後の一撃だからだ。
「そうね…
確かに……」
ニーナはそうつぶやくとその人差し指で力強くそして静かにトリガーを引いた。
Projact Hopeに残されたレーザーユニットは12機、そのすべてがまばゆい光を放つ。
振りかざされた剣は届くことはなく、淡い噴煙のもとに消えていく。
「終わりね…。」
落ちていく金属片。視界には散っていった粒子たちが輝しく舞い上がる。
「…あんた…もね……」
そのかすれた声は確かに聞こえた。
だがもう遅い。
その日、上空から四本の光の柱が差し込んだ。
柱たちは島のドームへとぶつかり、巨大な火花を散らす。
たった一本を除いては。
メイガスProject Hope:消滅
ニーナ=クラウス:戦死。