襲撃
どうも、はがね屋です。
ミチルのターン!
構えの時点で、前にいるメイドスさんの大きな体の威勢の良さに、少し僕は緊張していた。
「さぁミチル。かかってきやがれ!」
「っ、はい!」
両手に持つ剣に集中する。右後ろに剣を構え、メイドスさんの間合いへと駆け出す。
「おぉぉぉぉ!」
「おっと、まだスキルは出ないか」
ガキンッ!という音と同時に僕の剣は青い光を纏ったメイドスさんの戦斧に弾き飛ばされる。
「うわぁっ!!」
剣を強く握っていたため、僕の体も数メートル飛ばされ尻餅をつく。サクマはあんな一撃を受け止めていたのか…。
「まだ、まだぁ…」
「ふむ、根性はあるようだな」
メイドスはこちらを見てニヤリとする。体に力が入らず、膝立ち状態になる。
「それなら、次はどうする?」
「サクマなら…、いや僕は…」
サクマは生まれる前にお父さんを失い、ついこの間、お母さんを亡くしたばっかりだ。なのに、僕の見るアイツはいつも笑っていた。本当は寂しいはずなのに、苦しいはずなのに。でも彼には誰もいない。
「おおぉぉぉぉ!」
メイドスさんが戦斧を右肩に担いで突進してくる。僕はヨロヨロと立ち上がる。
「……」
「ミチルっ!」
なら誰が彼を支えるんだ。僕だろ。1番身近にいる僕が、サクマを助けないと!それなら今!僕はどうしないといけない!右手に構える剣がわずかに発光する。しかしその瞬間。
ドカーーーン!
「な、なんだ?!」
メイドスさんは足を止め、音がした門の方を見る。僕もつられて同じ方を見る。
「あ、あれはっ?」
サクマとカルラさんもそれを視認する。
「間違いない、騎士スケルトンだ」
黒く怪しく光る鎧を身に纏うこの間のスケルトン。
「サクマ!あのスケルトンって!」
「間違いない、俺がつけた傷がある!」
「君たち、あの森でスケルトンと戦ったのかい?!」
昨晩のことだ、鮮明に覚えている。
「はい、墓にあった剣で応戦したんですが、とにかく逃げることに必死で」
門兵のレイジさんとイルミさんが5体の騎士スケルトンに飛ばされ地面に倒れ落ちる。
「通常、スケルトンというモンスターは頭を壊さないと倒したことにならないんだ」
「生き残って、俺たちを追いかけてきたってか…」
焦るサクマが訓練用直剣を持って走り出す。僕も続かなきゃと思い、後を追い走り出そうとする。しかし、
「サクマっ!」
「待て、お前はまだスキルを使えてないだろうが!」
メイドスさんが肩を掴んで僕を止める。その間にサクマは剣技を使い、門兵を後退させつつ戦闘を開始する。
「せあぁっ!」
サクマは的確に騎士スケルトンの頭を切り崩す。残りは4体。しかし、騎手スケルトンがサクマを取り囲む。背後の騎士スケルトンの1体が、サクマの背中を狙う。
「危ないサクマ!」
「なんの!」
サクマはその一撃をかわし騎士スケルトンの頭を切る。それを見逃さない別の騎手スケルトンの1体が、サクマの間合いに一瞬で入る。
「速いっ!」
その瞬間サクマの背中から赤い鮮血が飛び散る。背中が凍りつくような嫌な感覚が僕を襲う。
「サクマぁぁぁぁぁぁあ!」
気づくと僕は、さっきまで怪力で捕まれていたメイドスさんの手を肩から振りほどき、自分でも驚く速さでサクマの元まで跳んでいた。倒れたサクマにもう一撃加えようとする騎士スケルトンの頭に集中する。
「僕が、サクマを助けるんだっ!!」
すると、左脇に構える剣が青く光る。僕は自分でも体感したこともないほどの威力で騎士スケルトンの頭に斬撃を叩き込む。
「はぁぁぁぁぁぁあ!!」
サキィーーーン!
鋭く耳に刺さる音が響き渡る。スケルトンの頭が兜ごと落ちるのと同時に、右手に握る剣がパキンと折れる音がした。
「ミチル君!」
カルラさんが僕に向かって何か長い物を投げてくる。
「僕とメイドスが作った剣だ!使ってくれ!」
目の前の地に刺さった剣は深紅に染まった刀身で、今にも燃え出しそうな色をしていた。手に取ると、頭に剣の名前が流れてくるのがわかった。“炎刀・インティ”と。
「ありがとうございます!」
青い光と刀身おが合わさり、青い炎が剣を包み込む。そして、先ほど無意識に発動させたスキルを再び使用する。
「スキル・剣技」
ボォォ!と音を立て中腰の姿勢からスケルトン回り込み、炎の渦のように連撃を繰り出し、一瞬にして残りのスケルトンを燃やし尽くす。サクマも目の前で渦巻く、ミチルが繰り出した青い炎に見とれていた。
炎刀・インティ
本大陸の南にそびえ立つ、ルフス火山でメイドスとカルラに作られた剣。少し日本刀のような形をしている。




