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鏡中のセカイ  作者: はがね屋
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剣技

どもども、はがね屋です。

ラベル産の卵は絶品です。

 



 朝食のオムライスをたいらげ、俺たちは昨日の役場に向かうことにした。役場に入るなり、奥から村長のクームがまた杖を突きながらやってきた。


「お、おはようございます」


「はい、おはようさん」


 気の抜けるあいさつをした後、すぐ隣にある小スペースの椅子にちょこんと腰をかけた。


「まぁまぁ座りなさい」


「失礼します」


 ミチルは未だに緊張しているようだ。俺もお婆ちゃんの家に来たような感覚で、どう言い表したら良いかよく分からない状態にある。


「早速本題に入るのじゃが、この村にはある言い伝えがあるのじゃ。魔王が再び力を振るいし時、勇者が向こうの世界からやってくる、というな」


「魔王?」


「そう。現在、魔王軍と人間軍との戦争が、遥か遠くの地で行われているのじゃ」


「人間軍は、勝てるのか?」


「ちょ、サクマ?」


「いいや正直な話分からん。じゃが、一等冒険者という高位の戦士たちの多くがその戦いに参加している。じゃが、問題はここからなのじゃ」


 俺もミチルも、ゴクリと喉をならす。


「魔王直属の七大魔境(ななだいまきょう)モンスターというものが、各国に封印されているのじゃが…」


「七大魔境…」 「モンスター…」


「うむ、その魔境たちが今、封印を破ろうとしているとの報告を各国から受けたのじゃ」


「各国ってもしかして、ラベルの向こうにある都市もなのか?」


「うむ、第一魔境、シュピーゲル」


 シュピーゲル、国と同じ名前のモンスターなのか。


「もしかして婆さんは、俺たちが言い伝えの勇者だって言いたいのか?」


「いかにもその通りじゃ。他にも、異界の勇者が地鏡の岡に現れこの世界を救済する、との予言もある」


「ぼ、僕たちそんなに特別なものは持ってないんですけど」


「スキル、というものは知っておるか?」


「あぁ」 「はい」


「やはりそうか。通常、スキルというものは1日そこらで使える技ではないのじゃ。使ったりしたのか?」


「俺は使いました」


「でもまだ僕は…」


 ミチルは少し、申し訳なさそうな顔をする。


「もし、そなたら2人が魔境どもと戦うというなら、私やこの村が全面的に協力することを誓おう」


 俺とミチルは顔を合わせて頷く。せっかく見ず知らずの俺たちのことを助けてくれたんだ。できることはなんだってやる。2人で決めたことだ。


「「戦います!」」


「うむ、心強い返事じゃ」


 クームはにっこりと笑う。



  *****



 俺とミチルは役場の者に案内され、武具屋のような店へと連れてこられた。古びた扉のドアノブを回し、店の中に入る。


「こんにちは~」


 入ると、緑のマントを装着した客と、店主であろうバンダナを巻いた巨漢が会話を止め、こちらに注目してくる。


「おぉ、お前らが噂の勇者どもか」


 巨漢がニカっと笑いこちらに来る。隣のマントの客は、俺を見るなり驚いた表情をする。が、すぐに巨漢と同じく笑みを浮かべてやってくる。


「やぁ、僕はカルラ。こっちの大きいのはメイドスだ」


「俺はサクマ」 「僕はミチルです」


 カルラと名乗る男は20代後半ぐらいだろうか。腰には木刀のようで杖のような長物を携えている。メイドスと呼ばれる大男。筋骨隆々で身長は2メートルほどあるのではないだろうか。


「おう!2人とも俺のとこに来るってことは、やっぱり冒険者になるんだな」


「なるのはなるんですけど、僕ら戦闘経験とか全く無くて」


「その辺も俺がなんとかしてやるよ。任せとけ!」


「「ありがとうございます!」」


 なんだか熱血教師のような人だ。



  *****



 アムに貰ったこの村の服の上に簡素なプレートアーマーを胸部に装着した。片手には昨日握ったものよりしっかりとした直剣。カルラは錬成術というものを使い、武具屋の後ろに開けたフィールドを作ってくれた。


「さぁ、まずは剣技を使ったサクマの坊主からだ!どっからでもかかってきやがれ!」


 メイドスも同じく胸にプレートアーマー、片手にはいかにも重そうな戦斧が何故か軽々と握られている。


「それじゃあ、いかせてもらいます!」


 まずは様子見だ。速攻で一撃を叩き込んでみる。 集中して、技と剣に意識する。剣技…発動。

 抜剣した剣は、昨日と同じく青く光り俺は力強く地面を踏む。


「うぉぉぉぉお!」


「ふんっっ!」


 ガキィィィン!

 金属同士の鋭い音が耳に響く。辺りに火花が飛び散る。メイドスもスキルを使ったのだろう、戦斧は青く発光しながら俺の剣撃を易々と受け止めたのだ。


「流石は勇者と言われるだけのことはあるな。初心者でこの力量流石にはありえないぜ」


「それはどうも!」


 2人の剣と斧とがぶつかり合い、硬直状態が続く。ここからだ。ここからどう交わし、再び切り込めば良い。ここで俺は、前で構えている剣の刀身を肩の後ろへと受け流し、俺は前へと進む。剣道でいう、返し技だ。戦斧が後ろへと落ちていく。


「うおっ!」


「せあぁぁっ!」


 ガキンッ!と音を立てメイドスの防具に一撃を加える。


「そこまで!」


 カルラが試合終了の合図をし、ミチルとともにフィールド内に入ってくる。


「いやぁ~。とても素人にはできん捌き方だ。参った参った」


「スキルを使うコツ、分かってきたよ」


 カルラとミチルが近づいてくる。


「サクマ君が使っているのは君の言うとおり、剣技というものだ。そうだ、剣技にレベルがあることを知ってるかい?」


「剣技にレベル?」


「うん、君の剣技の色は青だったね。それは下位スキル。上位スキルと呼ばれるものは赤く剣が発光するんだ」


 確かに、初めて剣技を使ったときからどんな技を使ったとしても、剣が青く発光する色は変わらなかった。


「どうやったら上位スキルを使えるようになるんですか?」


「ある程度経験値を積めば使えるようになる、そう聞いたことがあるよ」


 スッと片手サイズなカードを俺とミチルに差し出してくる。


「これは階級(クラス)カードと呼ばれるものだ。ここに自分の名前を書くと自分の階級が表示される」


 俺とミチルがカードに名前を書くと、四等剣士という文字が浮かび上がる。


「なんだよ、勇者だっていうしさっきの実力だと二等くらいいくのかと思ったぜ」


「そういうメイドスは何等なんだよ」


「俺は三等剣士だ」


 メイドスは自身のクラスカードを見せびらかしてくる。


「僕は二等術士だけど?」


 とカルラがメイドスにクラスカードを見せびらかす。


「お、お前は冒険者だからじゃねぇか!俺は武具屋だぞ!」


「ははっ。2人とも、多分クラスが二等くらに上がれば上位スキルを使えるようになると思うよ」


 ここで疑問がいくつか出てくる。カルラは自分のクラスを術士と言っていたが。


「術士も剣技を使うのか?」


「いいや、スキルはそれぞれの使い手で違ってくるんだ。この世界には剣士(けんし)剣技(けんぎ)術士(じゅつし)術技(じゅつぎ)槍士(そうし)槍技(そうぎ)弓士(きゅうし)弓技(きゅうぎ)盾士(じゅんし)盾技(じゅんぎ)、といった使い手とスキルがあるんだ」


 と、カルラがペラペラと語り出す。また分からなくなったら聞きに来るか。しかしミチルは興味ありげに目をキラキラさせる。


「たくさん種類があるんですね~」


「うん、更に練度として、1番下から五等。1番上に一等があるんだ」


「とりあえず剣技を練習するよ」


「そういうことだ。さて、次はミチルの番だ!お前にもスキルを使えるように訓練してやる!」


「はい!お願いします!」


 ミチルとメイドスが互いに構え合う。頑張れよ、相棒!







カルラは術士の中の錬成術を使う者。

術士は他に治癒術を使う者、攻撃術を使う者がいます。

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