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鏡中のセカイ  作者: はがね屋
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使命

お久しぶりにはがね屋です。

忙しさのピークを脱出しました。

 




「よし、体もすっかり元通りになったな」


 包帯やらシートやらいろいろ巻かれていたものを剥がし、すっきりした体を左右上下に(ひね)る。


「じゃあそろそろ、次の国に出発しないといけないね」


「あぁ、それが女王との約束だからな」


 魔王を倒せるかもしれない、と俺たちに賭けてくれた命を、時間を無駄になどできない。だからこそ、今は前に進まなければならない。悲しむのは、全てが終わってからだ。医務室から出てきた俺たちを待っていたのはアムだった。


「2人とも、次の国に行くのよね?」


「そうだよ。サクマの怪我も、ようやく治ったからね」


「うん、良かったわ。なら早く準備しましょ!」


「え?アムはここに残らなくて良いのか?」


 てっきり、カルラの手伝いをしていたアムの姿を見てここに残るものだと考えていた。


「あのねぇ、私は最後まで2人に付いていくって決めてるの。だから、ここは今頑張ってるカルラさんに任せるわ」


「アムちゃん、ありがとうね」


 照れ隠しなのか、両手を腰につけて、アムは廊下のど真ん中をたんたんと進んでいく。


「さて、僕たちも準備を始めようか」


「そうだな」


 ミチルは自分の部屋へ、俺は大浴場へと足を進める。

 第3王国エスベッポ。魔道具の最先端を行く国にして、伝説の槍士がいる国だ。昔、剣道と薙刀(なぎなた)で試合をしたことがあるのだが、結局決着はつかなかった。というより、先生に見つかり止められてしまったのだ。いつぞやの決着をつけられると、少しだけ槍士に期待しているのだ。

 腰につけていた鞘を持ち、シャキンと音を立て抜剣する。毎日丁寧に磨いているだけあって、カルラに貰ったときからあまり変わらないくらいの輝きを放っている。


「残りの魔境も、一緒に戦ってくれよ。スペランツ」


 着替えと剣を棚に置き、白い湯煙にあふれた浴場の扉を開く。



  *****



 朝早くから、明日の準備を始めているのはミチルだった。カルラが休憩をしているところを見つけては、仕事場へと朝から忙しく廊下を行き来している。


「という訳で、僕らは明日エスベッポに向けて出発します」


「そうかい。いやぁごめんね、仕事ばかりで君たちにもろくに会えずで、僕は当分のフランムの仕事を手伝わないといけないから…」


「分かってます。僕も、切り替えられたかと言われればうんとは言えませんが、ベラス様との約束があるんで」


 目の下に隈を作りながらも、いつもと同じ笑みを浮かべるカルラ。


「なら僕とも約束だ。絶対に、3人でまた無事に帰ってくること。これは必ず守ってほしい」


「ありがとうございます!カルラさん!」


「うん。また一緒に会えることを願ってるよ」


 机の上で、僕らは固い握手をした。そこで、コンコンとドアをノックされる音がし、カルラさんが王宮の職員に呼ばれる。


「じゃあまたね、サクマ君」


「はい!カルラさんも頑張って下さい」


 カルラさんは手をひらひらさせて退出していった。


「さて、次は荷物の確認か」


 ミチルも頭を整理するなり、部屋を退出していく。

 怪我を治したばかりのサクマの所へとむかう。それにしても、骨折がたったの1週間で治ってしまうとは。術士がすごいのやら、サクマがすごいのやら。そんなことを考えながらサクマの部屋の扉をノックする。


「はいよー」


「おはようサクマ。て、まだ寝巻のままかよ。早く起きなよ」


「うぅ、あと5分…いや10分だけ」


「やれやれ」


 いつもの相棒の様子を見ながら、僕は地図やら薬品の入った瓶やらを机に並べる。


「何やってんだ、ミチル?」


「何って、明日の準備に決まってるだろ」


「あぁ、もう前日なのか」


 寝ぼけたサクマがベットから降りてくる。


「俺は剣とご飯があればとくには…」


 寝巻きから普段着の灰色のシャツへとサクマが着替え始める。


「サクマは良くても、僕とアムちゃんは嫌だからな」


「へいへい、それもそうですねぇ」


「まったく…」


 鞄を1人ずつ持つ想定で、それぞれ中身に回復薬、非常食、寝具などを詰め込んだ。


「これくらいで良いんじゃないか?」


「そうだね、あとサクマ。ホントにこれからその装備でいくのか?」


 僕は、カトプロン戦で損傷した防具を新たに新調した。各関節部や胸部へ装着するプレートアーマーを作ってもらったのだ。刀に合わせてわずかに塗装された紅の(よろい)を、僕はとても気に入っている。

 一方サクマはといえば、前まで僕と色違いで着ていたケープコートをそのまま使おうとしていたが、流石に止められた。今度こそまともな防具を選ぶのかと思ったが、サクマが選んだのはギザギザの外套(がいとう)が特徴的な白と紺のロングコートだった。そして、いつもの灰色の籠手を左手に装着してこれでいいと言い張るのだ。


「俺は防御を固めるよりも素早さを求める剣士なのだよ」


「何かっこつけてるんだよ。もう鎧で防げるような怪我しても治してやらないぞ」


「簡単に怪我なんてしないさ」


「まぁ、君なら大丈夫だと思うけどさ」


 準備をしたあとは、庭で夕方まで稽古をした。サクマは、つい先日まで怪我をしていたとは思えないほどの動きで剣技を使い、引き分けとしてこの勝負が終わった。。汗を流すため、僕らは一緒に大浴場へと向かう。あと数時間後にはエスベッポに出発だ。






エスベッポ編へと突入します。

3体目の魔境、伝説の槍士。ワクワクですね。

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