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鏡中のセカイ  作者: はがね屋
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戦闘準備

どうもはがね屋です。

女王ベラスはゴリラと呼ばれるとぶちギレます。

 



 女王との会議の結果、魔境の間への出陣は2日後となった。魔境カトプロンは巨大トカゲタイプ。体長は10mほどあるらしい。それに対し、カトプロン騎士団は約100名。シュピーゲル国とは違い、大きな国のため騎士団員もそれなりに多い。さらに、いくつかの冒険者パーティーもカトプロンに滞在していたため、ギルドにクエストを掲示したところ8組40名ほどの人員を集めることができた。総勢約150名もの戦力で、この国の魔境を叩く。

 出陣前日。俺とアムとミチルはカルラを王宮に残し、先日の通りすぎた武具店へと立ち寄っていた。


「あの女王様ホントに優しいわね。装備の買い物に行くって言ったら、軍資金をくれたのよ」


「そうなのか?いくらほど貰えたんだ?」


「ざっと20万アミスほどよ」


 この世界で敬愛されている、俺のもう1人の母親こと女神アイミがお金の単位の由来になっているらしい。1アミス1円となっている。


「そ、そんなに貰えたのかい?!僕らの装備も充分準備できるじゃないか」


「ミチル。この籠手(ガントレット)くらいなら装備してもいいぞ」


 壁にかけてある籠手を手に取る。どうやら左手用のものしか無いらしい。それほど重くはないが、物が良いのは素人の俺でもよく分かる。


「ほぉ。お前さん、お目が高いなぁ」


 店の奥から、小柄な爺さんがドスドスとやってくる。


「それは北の王国の鉱山から採掘された、スクリロオリハルコンという貴重な素材から作られた籠手なんだぁ。あまり世間には知られていないが、世界で1番防具に向いている素材とも言われているんだぞぉ」


「スクリロ…オリハルコン」


「うむぅ。あまり知られていない防具なのでなぁ、誰も買わずに何年も前から売れ残っているんだぁ」


 灰色の竜の鱗のようなデザインをした籠手を左腕へ装着する。着け心地が非常によく、俺の左腕にすごくフィットしている。そこに、それぞれ必要なものを見繕ったのであろうミチルとアムがやって来る。


「あ、サクマが防具を着けてるわ」


「気に入る籠手があったみたいだね。似合ってるじゃないか」


 2人は興味津々げに俺の左腕を眺めている。


「どうだい冒険者の兄ちゃん。買ってかないかぁ?」


 値札はあったらしいが、紐の先に札は付いておらず、結ばれた紐だけがぶらさがっている。


「爺さん、これいくらするんだ?」


「本来なら600万アミスくらいはするがぁ、お前さんたち、明日カトプロンを討伐しに行くんだろぉ?」


「はい、絶対に倒してみせます」


 小柄の爺さんは腕を前で組み、うーんと悩み再び目を開ける。


「ならぁ、5万アミスで売ろぉ」


「買います!!」


 ミチルは両足、両肘に装着する服に合わせた青い防具を。アムはカラフルな薬品が入った瓶をいくつか。そして俺は例の籠手を買い上げた。総額16万アミス!



  *****



 カトプロンにやってきて3日後。とうとう魔境討伐の日がやって来た。昨日買った籠手を左手に装備し、王宮で用意された俺の部屋をでる。魔境の間はシュピーゲルと同じく塔の地下にあるらしく、塔下では討伐戦に参加する騎士団やパーティーがずらりと並んでいる。俺に気づいたミチルたちが手を振りこちらに向かってくる。


「やっぱり昨日の籠手、剣と一緒に並べてると似合うね」


「ミチルこそ、なかなか冒険者みたいな雰囲気が出てるぞ」


「僕もう冒険者なんですけど」


 集まった4人は顔を合わせ笑いあう。


「なんか、カルラは久しぶりに見るな」


「ずっとベラスの話し相手をさせられていたからね…」


 入国門の入り口で女王に会って以来、カルラはずっと2人で行動していたので、こうしてゆっくり話すのは久々な感じがする。と、ここで集まっている参加メンバーたちの前で誰かが指示をする声が聞こえる。


「集まってもらった皆のもの!大いに感謝している!」


 この聞きなれた野太い女性の声は…!


「この女王ベラスも、討伐戦に参加させてもらう!」


「「「 えぇぇーー!? 」」」


 周りで大きな歓声が上がる中、俺とミチル、アムの3人だけが驚きの声を上げていた。


「どどど、どういうことですかカルラさん!」


「落ち着いてくれミチル君。僕も止めるには止めたんだけど、彼女がどうしてもと言って聞かなかったんだ…」


「私みたいに後方で支援するならともかく、あの背中に背負ってる大剣。前線で戦うんですよね。一国の王が、そんな危険なことしちゃダメでしょ!」


 アムとミチルはカルラを前後に揺する。そんな俺たちを気にすることなく、出陣の合図を女王自らが出し始めた。


「突撃ぃーーー!」


 おぉぉぉぉぉぉ!

 と騎士団やパーティーは気合いを入れるが如く叫び走り出す。


「あの人なら大丈夫な気もするけど…」


 俺は遅れをとるまいと3人より先に走り出す。後ろから、納得しきれていない2人を引きずりながらカルラも走って着いてくる。魔境カトプロン討伐戦、開始。






女王ベラス

第4王国カトプロンの女王にして、一等剣士。

大剣を振るいます。ゴリラです。

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