砂の対策
どこも、はがね屋です。
次はいよいよカトプロン国編です。
メディウム大陸への上陸を完了した俺たち4人は、メニア村で一泊することにした。これから行く王国が砂漠地帯というのが嘘なんじゃないかと思うほど、メニア村は緑と土で成り立った普通の田舎なような村だ。港や小さな商店、そして俺たちが泊まる木造2階建ての宿がある。とても心地いい潮風が入ってくる素晴らしい宿だ。
夜空はあっという間に青空へと変わる。この世界には季節というものは存在しないらしい。そしてこのカトプロン王国は、年中気温が非常に高く湿度が低い気候にあるようだが、海沿いということもあり、このメニア村は安定した気候を送っているらしい。
「お、そろそろ見えてくるよ」
「「「 うわぁ~~!! 」」」
カルラが指差す方を見ると、そこにはどこまで続いているのか分からないほどの砂色が広がっていた。初めてこの世界に来たときも思ったが、本当に自然が豊かでどこも景色が美しい。
「ここから40分ほど進んだところに、第4王国カトプロンの入り口があるはずさ」
「この延々砂漠を…」
「40分も…」
「わ、私もう汗をかいてきたわ…」
メニア村から進み、ある一定のところまで来ると急に気温が上がるのが分かった。
「今日は風が吹いていないから、防砂具を着けずにこのまま進んでいけそうだね」
カルラは涼しそうな顔をしてサッサッと砂を鳴らして足早に歩き出す。
「ア、アム。なんか暑さ対策できる術技は無いのか…?」
「あのねぇ、治癒系の魔法を使う術士は、怪我を回復させる術技くらいしか使えないの。術士をなんでも屋みたいに扱わないでちょうだい…」
「お年頃だねぇ」
そんな呑気なことを言ってカルラは微笑む。ミチルはふと、何かに気づいたかのようにカルラの方を見る。
「カルラさんは何でそんな涼しげなんですか?」
「いい質問だねミチル君。僕が羽織っているこのマントはなんと気温異常の効果を受けないんだ!すごいでしょ!」
「「「 ズルい!!! 」」」
*****
数分後、カルラの緑色のマントは、ミチルの裁縫により綺麗に4等分され、それぞれの頭巾となっていた。
「すごいわこれ!全く暑さが気にならないのだもの!」
「アムちゃんの言うとおりだ!すごく快適だ!」
「うぅ…このマント、ミロワール王国の魔術師が安くで作ってくれた世界で1着しか無い代物なのに…」
「まぁそう落ち込むなって。魔境退治には必要なものだってことで、良いじゃんか」
先程まで俺たち3人を唸らせていた暑さは一切感じなくなり、残り数十分の距離も何の問題も無く歩いていけるほどの余裕を取り戻させた。
「あ!見ろよみんな!町が見えてきたぞ!」
「ホントだわ!ここまで余裕で来れたのはこれのお陰ね。ありがとカルラさん!さぁみんな早く行きましょ!」
「そうとも!僕のお陰なんだからもっと感謝して欲しいよ!」
ミチルがこそこそ話しかけてくる。
「カルラさん元気出て良かったね」
「アムがあそこまでよろこんでくれたお陰だ」
「ほらほら2人とも早く行こう!」
カルラもアムに続き走り出す。
「行こうか、次の冒険に!」
「そうだね!行こう!」
2人に続いて俺たちも走り出す。第4王国 カトプロンはすぐそこだ。
メニア村からカトプロンをつなぐ砂漠。時々ひどい砂嵐で旅人を困らせることがある。