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鏡中のセカイ  作者: はがね屋
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海を越えて

どうも、はがね屋です。

ついに本大陸、メディウム大陸へと話が進んでいきます。

 



 揺れる、ゆらゆらゆらゆら、ただ揺れる。俺は航海に出たことをとても後悔している。なんちゃって。もうテンションすらおかしくなってきている。


「うぇぇぇぇぇ」


「サ、サクマぁ。大丈夫かい?」


 ミチルは心配して、俺の背中をさすってくれる。


「悪いな、ミチル…。アムめ、酔い止めの魔法なんて嘘じゃないか…」


「気持ちだけでも変わると思ったのよ。というか、サクマが弱すぎるの」


 こんなときでも、よくカルラは寝られるもんだ。そう、俺たちは今、海を渡っていた。






 シュピーゲル王国を出る朝早く。国王や騎士団、町の人々が港に集まり、全員で俺たちを見送ってくれた。俺たちは海を渡り、その先にあるメディウム大陸へ上陸することを決めていた。メディウム大陸とは、シュピーゲルを除いた6つの国からなるこの世界の中心にある大きな大陸で、そこから1番近い、第4王国 カトプロンでの魔境討伐を計画している。そのついでに、シュピーゲル国王ハロクからカトプロンの王へと手紙のおつかいを頼まれた。


「短い間だったけど、お世話になりました、ハロクさん、騎士長」


「例には及ばんよ。どうか魔境と魔王を倒し、この世界を救ってくれ、勇者達よ」


「我々は、いつでも力になりますぞ!」


 国王は俺からミチルへ、ミチルからアムへと視線を移す。


「アム。此度の討伐戦、苦しい思いをしただろう。本当によく頑張ったな」


「はい、国王様。今回の戦いで、私は守りたいものを見つけることができました。お姉ちゃんも守りたいものがあって、戦ってこの世を去ったんだと思います。だから私、苦しかったですけど後悔はありません!」


「そうかそうか、それは良かった。今回、アムが1番成長したようじゃのう。そうだ、これを渡しそびれていた」


 国王は、月のように白く輝く石の付いた腕輪を渡した。


「これは?」


「1度目のシュピーゲル討伐戦の前日、彼女は君に会いたいと1人泣いていたのだ。その時に私が彼女にあげた物のペア、ソロルブレスレットだ」


「ソロルブレスレットって、世界に同じ物が2つあると言われている秘宝の?」


 カルラが驚き、国王が頷く。


「そう、討伐が終わったら君に渡しに行くと言って、彼女が私に預けていたのだ」


「そうだったんですか。本当に感謝します、大切に大切にします!」


 アムは目いっぱいに涙を溜め、国王にお礼を言った。そして俺たちは国が用意してくれた大きな船で、シュピーゲルの港を出発した。






 そして今に至る訳だが。ミチルは船の先頭で風を浴びに行った。アムは出港から、ずっと腕輪を眺めている。そして、俺とカルラはクォーターデックから水平線を眺めていた。


「カルラ、ソロルブレスレットってそんなにすごい物なのか?」


「もちろんだよ。アムのお姉ちゃんが付けていた赤い腕輪の方が、攻撃魔法を底上げする能力が。そしてアムが持っている白い腕輪の方は、防御魔法を底上げする能力を備えている」


「そんなすごい秘宝を持ってしても勝てなかったのが、全盛期の魔境(シュピーゲル)か。次は今回のようにはいかないだろうな」


 俺もアムと同じように、母に貰った神器を眺める。太陽の日が射し込み、床に綺麗な光線を反射させている。


「次の魔境(カトプロン)は巨大トカゲタイプだと聞いている。能力は透過だそうだ」


「透過か、かなりやっかいな魔境だな。カトプロン王国はどんな所なんだ?」


「僕も何回も行っているけど、簡単に言うと砂漠地帯だね。でも都市周辺はしっかりと発展していて過ごしやすい所だ」


「砂漠だけど、それなら行くのに苦労はしないな」


「いや、都市事態は整備されているけど、都市周辺以外の砂漠は何もなくただ暑いだけの所なんだ」


「ま、まじかよ。うぇぃぃぇぉぉぉぁぁお…」


「ホ、ホントに大丈夫かいサクマ君!」


 この地獄の航海は2時間ほど続いた。






第4王国カトプロンは女王が統治する王国です。

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