プロローグ
どうもはじめまして、はがね屋です。
小説投稿、はじめました。
「ごめんね、咲磨。お母さんはお父さんを助けられなかった。 ごめんね、咲磨。ごめんね、響矢…」
響矢というのは、父さんの名前だ。僕が生まれたときには、もう父さんはいなかった。そして、父さんがいない理由は私のせいなんだと、ずっと前に母さんが言っていたのを鮮明に覚えている。
僕は深夜の布団の中で意識が消え行くなか、そんな母さんの泣き声を聞いた気がした。
その日の夢は未だに覚えている。どこまでも暗く、それでいて少しだけ明るいところ。自分の目が開いているのかも、生きているのかもよく分からないところにいる。でも、確かに聞こえる。走っているのも分かる。これは、たぶん父さんの声だ。母さんの声もする。二人とも走っていた。何かから逃げるかのように走っていた。
夢が終わる直前、ものすごく恐ろしい声がした。すべてを燃やし尽くすような、それでいて黒く黒く焦げた声が。その声が笑い声へと変わる。そして、最後に残ったのは母の荒い呼吸と泣き声だけだった。
ちなみに母は利美 咲乃です。
得意料理はカレイの塩焼きだそうです。