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策士陣を組む

 トトカリカの森で、カラカラ回るよ糸車

 魔女が紡ぐよ銀の糸 

 カラカラ回るよ糸車


 トカリカの森で、グツグツ煮るよ銀の糸

 赤の色、黒色金色、白い色

 グツグツ音立つ銀の鍋


 トトカリカのの森で、とんとんからりトンカラリン

 魔女が機織り布作る

 七色十色の糸使い

 とんとんカラリトンカラリン


 一番目が紡ぐよ 

 二番目が染めるよ

 三番目が機を織る 


 時々迷い子訪れる、魔女は頭を合わせて相談す


 喰おうか 助けよか 薪に変えよかどうしよか


 グツグツ煮込んでスープにしよか、

 生まれ変わらせ助けよか 

 めんどくさいから薪に変えて燃やそうか


 迷い子囲んで唄歌う。


 トトカリカの森で魔女が三人暮らしてる。


 ヒトが次々現れた、退屈していた魔女達は

 転生輪廻の呪いかけて

 ぽんとそれらを縁有る場に放り出す  


 奴らがどんな次を過ごすのか


 退屈しのぎじゃ、魔法の鏡で覗こうや


 トトカリカの森で三人の魔女が暮らしてた


 ―――鏡は映し出した。異世界の光景を。


 一番目が話す 生まれてからのいらないね

 二番目が話す 面白い展開覗きたい

 三番目が話す 呪文をかけて早送り


 それ、大きくなあれ、それやれ進め、

 それやれほうれ 見たい時間にひとっ飛び


 魔女はローズヒップティーを用意した、勿論蜂蜜忘れない。茶菓子は、クルミのスコーンに、森で摘んだベリーのジャム添えて


 これで満足、三人笑って観客席から眺めてる。




『私立布英讃蓮洛字学園』山の中に広大な敷地を、有している由緒正しき男子校である。現在の学園長は『鷲山 蝶子、年齢不詳』生徒からは『グランマ』と呼ばれ恐れられながらも、慕われているおばあちゃん。


 彼女の仕事は、多岐に渡るが、中でも特に力を入れているひとつに、その年齢に相応しくない、ピンヒールの靴音を立てながら、風紀を乱す輩を罰する為に、輩ばかりの学園内を歩き回る事だ。


「グランマてぃーちやー、ちわっす!」


「校内では、挨拶はきちんとしなさい!校則に書いてあろうが、あと、廊下は走るな」


「ハイっす!しつれーしまっス!」


 ふざけた態度ですれ違いざまに、頭を下げてきた生徒に、苦笑しながら注意をし、来たるべき明日に行われる『体育祭』の準備に浮かれた空気の中を、あちらこちらに、目を配りつつ歩いていた。


 青龍の青、白の白虎、朱雀の朱色、黒の玄武、四色のチームカラーがあり、生徒はそれぞれのリーダーの元で、応援の看板を書いたり、何やら作戦会議をしていたり、歌を歌ったりフリを練習したりと、それぞれに楽しそうに盛り上がっている。


 なぜなら、文化祭も体育祭も、学年別ではなく、東西南北、四つある寮別対抗戦になっているからだ、なので上級生の指示の元、完全なるお祭り騒ぎと化すのは、毎年の事。


「まるで戦の陣の中にいるようだね」


 コツコツと階段を上がり切る、ガチャンと鍵をあけてから、屋上に出た学園長。そこには誰もいない、以前は生徒も自由に、出入り出来るようにしていたが、安全性やら色々と世論がうるさくなったので、今では鍵をかけそれを管理している、そしてそれは彼女の職務の一つになっていた。


「すっかり準備も整って、何時から始まったのか知らないが、夜のシメ、キャンプファイヤーの準備も、バッチリのようだね、全くこれ位熱心に、勉学の方も励んでくれたらいいのに、校訓は文武両道なのだけどね」


 校庭を眺めていた彼女は、周りの深くなった緑に目を向けた。秋めいて来たのか、杉木立が黒みを、増してて来ている。空に目を上げると、茜色、薄花色、金色朱色、夕焼けが広がる。


 どうやら雨ではなさそうと思い、目を細め校庭から響く、弾けるような若い声達に耳を傾けた。楽しくうきうきとした空気が、心地よく彼女に伝わる。冷えた山の夕の風が、木々を揺らし音たて渡る。


「フフ、楽しそうだね、時にはこういう事も必要だね」


 学園長は満足そうに呟くと、明日の一日を思い浮かべ、事故なく行事が終わることを空に願い、コツコツと足音を立てながらその場を後にした。



「えーとお、とりあえず4グループに分けて、曲はこれにして………、ここにこうなると、回った時に、アンコール、逆回転、ラストは、うーん、順番、順番、テンポを下げるか………」


 音楽室で一人の見目麗しい生徒が、パソコンの画面に向かっている。彼の名前は『日向 満秀 十七才、ひゅう君』


 彼が今、悩ましく取り組んでいるのは、明日の夜に行なわれるキャンプファイヤー、その時何故か、代々伝統的に執り行われている全員参加の、フォークダンスの順番である。


「アレコレうるさいんだな、日中よりもこの準備が一番大変、でも今年こそはと思い、この役に立候補したし

 、ラスト、そうラストの為に、ラストを絶対に、僕の手の内に入れる為!頑張る!」


 カタカタとキーボードを叩きながら、ブツブツと独り言、真剣な眼差しの先には画面に、4つのサークルと、寮別とは違う、グループ分けの名簿。


「ホントかどうかは、わからないけど………、僕は『伝説』にかける!かけるよ!そう………よくわからんが!私には『前世』とやらの記憶があるぞ!幸い髪の毛はフサフサじゃあ!はーはははあ!ここで出逢ったとは何たる僥倖!何たる幸せ!………、次こそは『ながちゃん』なんかに渡さない」


 音楽ソフトをアップデートをし、野望を叶えるため、彼はある策を練っていた。流れるフォークダンスのよくある曲、それのタイムを計測するひゅう君。


 カタカタ、カチカチ………カチカチ、カタカタ、彼の細かく計算し尽くされた、計画表が出来上がっていく。




『私立布英讃蓮洛字学園』山の中に広大な敷地を、有している由緒正しき男子校、体育祭の夜に行なわれるキャンプファイヤー、フォークダンス、そのラストオンリーワンの相手が偶然『想いを寄せる相手』だったら、願いが叶うという、倒錯世界万歳な伝説があった。

































































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